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ミッドナイトクロスのRのレビュー・感想・評価

ミッドナイトクロス(1981年製作の映画)
4.2
再びデパルマ。この映画を見るのは2回目。個人的には他のデパルマサスペンスの方が好きやけど、これはこれで全然面白い。シャープな犬みたいな顔した若き日のジョントラボルタが演じてるのが、B級映画の音響技師ジャック。ジャックはある夜、川の流れる山道で、自然音を録音している。かなり遠くの音までキレイに拾える高感度マイクが、男女カップルの逢引の声を拾う、おや?何か妙な音がするな、とマイクを向けると蛙が鳴いている、お次はフクロウがほーほーと鳴き始める、と、遠くから車の近づく音がし始め、音が近づき、視界に入ってきて、近くの橋を走ってる途中に、パーンと破裂音が聞こえたかと思うと、車はコントロールを失い、橋から川にザブーン!と落下。すぐ飛び込んでバックシートの女を助けてやるのだが、運転席の男は助けられなかった。この男が何と、大統領選に出馬することになってた大人気の知事。これはただのスリップ事故なので、女はいなかったことにしといてくれ、と知事の関係者に頼まれるのだが、怪しさを直感するジャックは、その夜の録音テープを何度も聴いて、自分の視覚的記憶と重ね合わせていく。録音とジャックの主観映像が組み合わさって、事故の様子がぼんやり浮かび上がる。さらに、偶然事故現場に居合わせてた男が、事故の一部始終を写真に撮っていたようで、雑誌に載ったそれら数多くの写真を、切り取り、パラパラ写真にし、さらには動画に変えて、音源と組み合わせてみる。事故の事件性がどんどん明確に浮かび上がってくるこのプロセスが大変にエキサイティング! アントニオーニの欲望とコッポラのカンバセーションを組み合わせたようなシーンで、緊張感や迫力ではそれらの傑作には及ばぬものの、巧みにデパルマ流の俗っぽい娯楽テンションに落とし込んでて素晴らしい。で、溺死から救ったげた女サリーがLeave me alone!!!と拒むのを何とか説得して、事故の背後の政治的陰謀をふたりで暴こうとするのだが……という流れ。その後も音と映像にこだわりまくった演出がエンディングまで続きに続く。途中ジョンリスゴー演じる謎の売春婦連続殺人鬼が出てきて、ん?何なんだこいつは?と若干ストーリー的に道に迷わせておいて、おーそーゆことねってなる展開も面白い。ジョンリスゴーってこんな時代から早くもキモい犯罪者演じてたんやね笑 似合いすぎ! トイレのシーン最高ですね。カメラがぐるんぐるんぐるんぐるんなるシーンは目が回りそうやった。何であんな演出したのか果てしなく謎。見てる間はアレが何を表したシーンかもよく分からんかったし笑 いかにも80年代なケバい音楽演出はとても好みで、そんなこんなのすべてがピークに達する、見事なスローモーションのクライマックス!!!壮麗なる花火をバックに絶体絶命のフィナーレ!!!うおーーーーーー!と思ったら、その後で、まさかのギャーーーーーー!!! えええええ!!! めっちゃきっついことするやん!!! 何? 自虐? 何? え? 鳥肌総立ち! 最後に、ナンシーアレンの頭悪そうな美人局娼婦っぷりに驚かされた! 演技うめーなこの人! 殺しのドレスもこれも演じてる女そのものな人にしか見えない。
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