彦次郎

劇場版 CLANNAD -クラナド-の彦次郎のレビュー・感想・評価

劇場版 CLANNAD -クラナド-(2007年製作の映画)
3.3
父親との喧嘩で怪我をしたことから自暴自棄となった岡崎朋也が学園前の坂道で古河渚(ジャケットのゴキブリみたいな触覚のような髪型の子)と出会うことで人生が変わっていく恋愛アドベンチャーゲームの劇場版。監督は出崎統氏ということで止め絵とか独特な持ち味の演出(男臭いというか昔風というか)でした。更に言えば出崎氏の劇場版としては遺作。
さて本作は「もう一つのCLANNAD」ということで朋也の声優が違っていたり、登場人物がかなり削られていたり、性格が変わっていたりとテレビアニメ版を観ていると違和感がありますが膨大な話(アニメだと40話くらいある)を90分にまとめるというのは無茶というものでしょう。むしろ話をシンプルに削ぎ落したことで分かりやすくなったとも解釈できます。幻想世界のピエロみたいなのは朋也であり本作は彼自身の物語ということなのかもしれません。
失意の朋也のアパートに料理を作りに行く智代(ゲーム別ルートでヒロイン)や遠くから有給を使ってまでも心配して来る春原など劇場版ならでは味わいもありました。特に春原の「あいつとうとう一言も口聞いてくれなくなった」は悲しさ満載でした。小生はゲーム未プレイでテレビアニメ版視聴済ですが、ある程度知っていないと「浅い」と感じられる方もいるかもしれません。しかし短時間で出会いと喪失と再生を描こうとする姿勢は涼とすべきでしょう。それでも人間関係が唐突だったり後半の展開に違和感があったので個人的にはテレビアニメ版よりは満足度が低かったです(決して駄作というわけでないので誤解なきよう)。
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