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地獄への道のHKのレビュー・感想・評価

地獄への道(1939年製作の映画)
3.5
ビリー・ザ・キッドと並ぶ有名な西部の実在のアウトローであり、史上初の銀行強盗とも言われるジェシー・ジェームズ強盗団を描いた映画。
原題はズバリ“Jesse James”。日本で公開されているジェシー・ジェームズ関連の映画の中でもだいぶ古い部類ですがカラー作品です(かなり褪色していますが)。

実は『地獄への逆襲』の方を先に観ようとしていて、直前に本作の続編だと知って慌ててこちらを先に観ることに。アブナイアブナイ(どちらもアマプラ見放題でラッキー)。
監督は『頭上の敵機』『拳銃王』などG・ペック主演作の印象が強いヘンリー・キング。
ジェシー役は当時の二枚目スター、タイロン・パワー(当時25歳)
この人、私は中年以降の作品『愛情物語』『情婦』の印象しかなくてこんな若いのは初めて。

兄のフランク・ジェームズ役は『怒りの葡萄』の頃のヘンリー・フォンダ(当時33歳)
フォンダはレオーネの名作『ウェスタン』での役名もフランクでしたね。
保安官役のランドルフ・スコット(当時41歳)は、同年公開の『フロンティア・マーシャル』ではワイアット・アープを演じていました。

他の作品のジェシーとフランクのジェームズ兄弟は、ほぼ初めから有名なギャング団ですが、本作では南北戦争後に農場を営んでいたジェームズ兄弟が立ち退きを迫る横暴な鉄道会社に母親を殺され復讐を誓い列車強盗に・・・と珍しく悪の道に走った経緯が描かれます。

ただし、後の映画とは微妙に話が食い違っており、どこまでが史実かは不明ですが。
ただ、兄弟がただの強盗ではなく、権力者から奪うという義賊的な面もあって人気だったのは事実のようです。
私が以前観たウォルター・ヒル監督の『ロング・ライダーズ』とフィリップ・カウフマン監督の『ミネソタ大強盗団』では、ジェームズ兄弟はヤンガー兄弟とつるんでおり、ジェームズ=ヤンガー・ギャング団として名を馳せていましたが、本作にヤンガー兄弟は登場せず、その代わりフォード兄弟による例の有名なジェシー暗殺シーンは再現されています。

ビックリしたのは『ロング・ライダーズ』のクライマックスで馬に乗ったままジェシーたちがショーウィンドウを突き破る名場面とソックリなシーンがあったこと。本作が元ネタだったんですね。
また、本作は『無法の王者ジェシイ・ジェイムス』(1957年、原題:The True Story of Jesse James)としてロバート・ワグナー(ジェシー)とジェフリー・ハンター(フランク)主演、ニコラス・レイ監督でリメイクされているようです。
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