si

神様のくれた赤ん坊のsiのネタバレレビュー・内容・結末

神様のくれた赤ん坊(1979年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

あなたの子供かもしれないと無理やり子供を押し付けられた男がその子と真の父親を探しに出るロードムービー。

終始ちょうどいい面白さ。渡瀬恒彦の悪気ないのは分かるけど無神経の極みな行動で、子供のことを考えたらハラハラさせられるんだが、要所要所のちょっとした気遣い、優しさがじわじわ効いてきてどんどん主人公に愛着が沸いてくる。子供もだんだん打ち解けてるようになって来て、バーで図々しさも発揮するようになるのは笑えるし、逞しさにグッと来た。

それにしても各父親候補のゲスさも相当なものだけど、母親も母親なんでとにかく子供が不憫。この中ではやっぱりお金がなくても渡瀬恒彦と桃井かおりがいいわってなる。

桃井かおりの出自を探るシーンは、回想がほんとのただの日常なのが良かった。そんなどこにでもいるような母親が実は娼婦だったと知り、自分は母親の苦労を知らなかったことが気になって、試しに娼婦になってみるのが本当に切ない。結局逃げ出してしまうけど、あそこで母という存在そのものを確実に意識する。

最後の父親候補がヤクザで、あっさり子供を引き取ることを了承されてちょっと狼狽してしまう二人がたまらない。で、ここからのラストシーンがとにかく素晴らし過ぎて、圧倒的な幸福感に包まれる。橋の上であの台詞を反復して思いっきり引き返す、ここでエンドロールっていう最高の贅沢感。見終わってあまりにも清々しい気分になって涙は出なかったんだが、翌日思い出したら泣けて来た。こういうのが真の人情喜劇って言うんだろう。

しかし、荒井晴彦が関わってるのに、こんなに爽やかな作品もあるんだな。
si

si