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THE FIRST SLAM DUNKのsiのネタバレレビュー・内容・結末

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作は連載時初回から読んで単行本も途中まで買ってたけどほぼ丸々覚えてない状態で鑑賞。キャラへの思い入れも全く無し。

オープニングで主要キャラクターが徐々に描かれていって色が付いていくまでは本当にカッコいいし、タイトルがバーンと出て来るところは最高にゾクゾクする。クライマックスの逆転劇も手に汗握る。普段バスケの試合を見たことがないので、ゴール前でジャンプしてる途中で敵からの手を下に交わし、そのままヒョイっとボールを上げてゴールに入れるプレイには単純に衝撃を受けた。人間にこんなこと出来るの?youtubeで実際のスーパープレイを確認したら本当に人間が実現出来ててびっくりした。

とはいえ、実際は後半30分まで全然乗れなかった。クライマックスに至るまでが異常にテンポが悪い。いくらなんでも試合途中の回想シーンが多すぎるし、感傷的過ぎる。最初の方は見せないようにしているのかと思ったけど、結局兄貴の話を何度も反復されてしまって泣け泣け言われてるみたいで冷めた。宮城の手の話、兄が山王との試合を熱望してた話は最初に振っておいてくれたら泣けたんだがな。こういう短時間で小出しに情報を出す手法は週間連載時の癖であって、2時間一気に見る映画では説明的過ぎるんではないかと思う。試合運びも含め台詞に頼り過ぎているし。山王の監督、独り言を全部口に出している。

あと主要人物の描き込みに対して観客のそれに手を抜き過ぎていることも気になった。熱気の演出として観客って重要だと思うんだが。何かみんな一緒だし生気が無くて気持ちが悪い。鑑賞後にyoutubeで田臥勇太の高校時代の映像を見たんだが、これが観客に躍動感があって本当に素晴らしい。予算の都合もあったんだろうけど、2ndがあるならここは絶対に改善して欲しい。

絶賛の嵐ではあるが、映画の構成的には厳しい評価になってしまう。良い部分4点、悪い部分2.5点で結局3点。正直各キャラの魅力を2時間で伝えきれてはいない。原作ファンが満足するのは事前に知ってるからでは?忘却の彼方であった私にはさほど響かなかった。井上雄彦自身は常に勉強熱心な方だし、今回で映画にも興味を持ったはずだから反省も多いんじゃないかと信じている。「リアル」は傑作だし、次は良くなるはず。
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