マヒロ

エドtvのマヒロのレビュー・感想・評価

エドtv(1999年製作の映画)
3.0
「一般人の生活を24時間カメラで映し続ける」というテレビ局の企画に、図らずも抜擢されてしまったビデオ屋店員のエド(マシュー・マコノヒー)。明るい性格の彼は割と乗り気で企画に参加していくが、激変した生活の影響で周囲との関係性も徐々に変化していき……というお話。

レビューをざっと下にスクロールしただけでもかなりたくさん『トゥルーマン・ショー』と比較する文言があって、実際当時も公開時期が近かったこともあって並べて語られることも多かったらしい。
『トゥルーマン〜』との大きな違いは、撮られている本人がそのことを自覚しているという点で、知らない間に生活を覗き見されているという異常さをある意味ファンタジーチックに描いていたあちらと違いタッチとしてはリアル寄り。そのぶんプライバシーの切り売りに熱狂する観客とそれを受けてどんどん過激化していくメディアというところをブラックに描写している感じ。

エドの撮影に伴って家族の関係性も徐々に変わっていくんだけど、ここら辺はちょっと無理あるかも、という気もした。本当は自分が撮影対象になりたかった兄のレイ(ウディ・ハレルソン)や、昔いなくなった実父の代わりに家にやってきた義父のアル(マーティン・ランドー)と実母のジャネット(サリー・カークランド)等、彼らが隠していたことや本当の気持ちがどんどん明らかになっていくんだけど、皆撮影のことを知っているという状態でそんな個人の事情をベラベラ話すかなぁという違和感があった。まぁ、そうでもしないと物語が進展しないからというのはわかるんだけど、番組のためにわざわざ燃料注いでるように見えてしまう。とは言え義父のアルとのエピソードはそこそこグッときはしたんだけど、よく考えるとそれもかなり唐突だし。
個人的にはもっと視聴者・メディアの醜さにフォーカスしてくれたら面白かったかなと思ってたんだけど、そこら辺はそれほど深いところまで行かずに表面的にタッチしただけという感じがしたな。エドの彼女・シャリ(ジェナ・エルフマン)に対する対立煽りみたいなところに関してはなかなか際どいところまで行ってはいたが。

決してつまらないわけではなくそれなりに楽しめたんだけど、もうちょっとこうだったらなと思う点がちょくちょくあって気になってしまう作品だった。

(2019.230)
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