ねこ無双

渦のねこ無双のレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
3.5
ドゥニ・ヴィルヌーブ監督の初期作品の一つ。
喋る魚が序章と終章を飾る風変わりな大人のラブストーリー。
今まさにさばかれようとしてる血塗れの深海魚がパクパク話してる光景が、物凄くシュールでグロ。ここだけ映画のトーンが違う。
この魚に喋らせてるのってきっと意図あるんですよね?多分…。

ドゥニ監督の静かなる叫び、灼熱の魂のどシリアスとはまた違ったユニークなテイストの映画。
これにプリズナーズ、ボーダーライン、まだ私は観てないSF映画群とカラーの違う映画を作れる多彩な監督ですね。

主演のマリ=ジョゼ・クルーズさんの眼差しはとても美しくて深い(ヌードも凄く美しいです)。
刹那的に生きる女性が贖罪をしようとする様子も行き当たりばったりで、ずるずると嫌な女の人生の末路を見せられるかと思いきや、なぜか嫌いになりきれない魅力をこの女性に感じてしまった。
この後半展開が好きです。
死んだ男の同僚たちと盃を交わすブラックなシーンも面白かった。

シリアスなドラマなのに合わせた挿入歌が変わってて、不思議な雰囲気を持つ映画です。
後で調べてみたら、シャンソンの歌(これが凄く明るくてpopな雰囲気)とトム・ウェイツの歌でした。トム・ウェイツといえば、ジム・ジャームッシュ映画の常連俳優としても知られてます。