フジツカ座

タクシードライバーのフジツカ座のレビュー・感想・評価

タクシードライバー(1976年製作の映画)
3.2
鬱屈した当時の社会潮流を、沸々沸々と静かに炙り出すように具現化した作品。

その背景としてトラヴィスがベトナム戦争の帰還兵であるって事なんだけど、「1+1=2」っていう式の真ん中が抜けてるというか、了承事項として片付けられてるというかね「1◯◯=2」ってなってて、なんとなく、ああ、ここにはプラスと1が入るんだなってのは察するのだけど、そこ無しにして「帰還兵が抱える狂気」みたいに言われてもそれは少し独りよがりやろーって思ってしまうとこは否めない。

自己顕示と正義を限りなくイコールで結びつけ正当化し、しかも死ぬことさえ出来ず英雄の如く祭り上げられた男の悲惨な物語。そしてその悲しくも勘違いした狂気はまるで煩悩のように消える事なく、彷徨い続けていく。。


けど無機質で冷酷なデニーロの表情やシビルシェパードの透き通るような美しさは相当シビれた。
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