Jaya

河内山宗俊のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

河内山宗俊(1936年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

弟広太郎のために姉お浪が身売りされるのを用心棒金山市之丞と坊主河内山宗俊が助けようとするお話。オープニングクレジットから凝っていて楽しい。

優しげで飄々とした宗俊こと河原崎長十郎と、粋な金子こと中村翫右衛門の二人がとても画になっていて雰囲気も素晴らしい。お浪こと原節子が一人アイドル然としていて浮いていました。広太郎は他にいなかったのかなあ…。

小柄の競りのシーンのように、急に始まるコントのようなコミカルなやりとりが楽しく、そのメリハリも凄い。合わせて聞いているうちに癖になるような劇伴。

テンポも滅茶苦茶に良く、心中の顛末などでの思い切り過ぎる端折り方も、シークエンスには何の違和感もありませんでした。唐突にも感じるラストカットも心地良かったです。

とても印象に残るカメラワーク。要所での独自性と美しさが素晴らしい。白眉はドブ川でのチャンバラの一連の流れ。遊び心を常に入れてくるような構図が素晴らしかったです。

広太郎のトンチキぶりや女房お静の憎たらしさには納得し難いものもありましたが、練られた脚本と撮影で典型的な時代劇に留まらない面白さを感じた名作でした。
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