🔸Film Diary🔸
▪️本年鑑賞数 :2022-279 再鑑賞
▪️死ぬまでに観たい映画1001本-※※※

🖋夭折の名匠と言われる山中貞雄が監督した現存する3作品の内のひとつ。それだけでも見ものなのに、なんと本作はあの原節子の本格デビュー作品です！！この時15歳！！この清純可憐、初々しさにもう魅力されてしまう、そんな作品です。映画史に残る伝説ヒロインの誕生ですね！

🖋物語も山中貞雄監督ならではの人情時代劇。ろくでなし達が美しい娘のために命を懸けて闘う、というジョン・フォードの西部劇『3悪人』をヒントにしたといわれる本作は、人情味とユーモアに満ちた、楽しくて切なくてそしてワクワクするそんな伝説の時代劇です。この時代にしては緻密なプロットも必見です。

🖋ラストの狭い水路でのチャンバラはその構図を含めてとても素晴らしい出来栄えです。えっ！ここで終わるんや。。。と思ったエンディングも観終わった後に余韻を残します。唯一残念なのはこの時代の作品にありがちな音声が聞き取りにくいこと。この部分を除けば素晴らしい作品です！！

😢Story:（参考: 日活）
無為な日々を送る河内山宗俊（河原崎長十郎）と浪人の金子市之丞（中村翫右衛門）にとって、甘酒売りの少女お浪（原節子）は心和む存在だった。お波は、弟の広太郎の非行に手を焼いていた。姉の心配をよそに博打に明け暮れる広太郎。ある日、広太郎は侍から小柄を盗み、質屋に売り払って飲み宗俊の飲み屋に繰り出した。心配したお波が訪ねてくるが、広太郎は偽名を使っていたため、聞かれた宗俊は知らないと答えた。しかし、お波の心配する様子を見て不憫に思った彼は、探すのを手伝うことにした。やがて、広太郎の借金の代わりに身売りすることになったお浪を救うため、ヤクザなはぐれもの河内山宗俊と金子市之丞は、身体をはって立ち向かう！

🔸Database🔸
・邦題 :『河内山宗俊』
・原題 : ※※※
・製作国 : 日本
・初公開 : 1936
・日本公開: 1936/04/30
・上映時間 : 82分
・受賞 : ※※※
・監督 : 山中貞雄
・脚本 : 三村伸太郎
・原作 : 河竹黙阿弥『天衣紛上野初花』
・撮影 : 町井春美
・音楽 : 西悟郎
・出演 : 河原崎長十郎、中村翫右衛門、原節子

🔸Overview （参考:映画. com）🔸
夭折の名匠・山中貞雄が、美しい少女を救おうとする男たちの奮闘を描いた時代劇。居酒屋に居候する河内山宗俊と、用心棒の金子市之丞。その日暮らしの生活を送る彼らにとって、甘酒屋の娘・お浪は心の慰めだった。ある日、お浪が不良の弟・広太郎の借金のために身売りすることを知った宗俊と市之丞は、彼女を救うべく手を組むが……。当時15歳の原節子がヒロインのお浪役を可憐に演じる。多くの作品の原版が失われてしまった山中監督作の中で、現存するわずか3作品のうちのひとつ。

軽喜劇のイメージが強い山中貞雄であるが実は本作のようなドラマの方がずっと多く、『丹下左膳』こそ彼の例外的な作品であると言ってよい。原節子の女性像が既に完成されつつあることに驚くが、人物が同空間を往来する反復構図をその都度同じアングルから捉えるカメラは古典芸能的。
他二本と共通する身体的コンプレックスについては驚異的な剣の腕や神経感覚によってカバーされているが、毎度会話から滲み出る人間臭さは小津といい清水といい台詞脚本が神がかってると思う。クライマックスの縦構図はただ山中貞雄の遥かなる可能性を二十一世紀の我々に示唆するのみ…。

山中貞雄監督の現存する３作品の中の一本です。
原節子さんのデビュー作としても有名な作品で、日本のあしながおじさん系の時代劇です。
世の中では悪人と言われている男たちが一人の少女のために立ち上がる物語です。
良い日本映画の要素がふんだんに盛り込まれた傑作時代劇ですね。