ハル

チャイナタウンのハルのレビュー・感想・評価

チャイナタウン(1974年製作の映画)
3.8
かつて刑事だったが今はロサンズルスで探偵をやっている男が、水道利権に絡んだ陰謀とその周囲にいる人々の異常な過去に巻き込まれていく。


愛妻を殺され失意の淵にあったロマン・ポランスキーに渡米を決意させ、アカデミー脚本賞を射止めた傑作である。巨大な陰謀と複雑極まる人間関係を絡ませることで、従来のフィルム・ノワール作品とは一線を画した、厚みのある作品に仕上がっている。

ラストの「怠け者の町さ」という有名なセリフは、アメリカにおけるチャイナタウンの特殊性を象徴するとともに主人公の無力感を表している。ジャック・ニコルソンは件のセリフを呟いた後、刑事たちに伴われ、夜のチャイナタウンを離れる。そこへ、エンドロールとともに、ジェリー・ゴールドスミスの奏でる、悲哀に満ちた音楽が流れる。これほど後味の悪い幕引きを私はほかに知らない。
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