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ベラ・ルゴシの 幽霊の館のmQのレビュー・感想・評価

ベラ・ルゴシの 幽霊の館(1941年製作の映画)
3.8
クラシカル且つホラーの手引き書のような映画でとても好きでした。
こういう映画を観るために映写機と白いスクリーンが家に欲しいですね…

公開年が1941年と、日本ではまだ太平洋戦争真っ只中なためアメリカでこういったホラー映画が上映されていたことが何だか想像できませんね。
日本では96年公開なためギャップがあります。

Amazonプライムが立て続けにこうした素敵なゴシック映画を入荷してくれたため今作に出会えた訳ですが、レビューで多くの方が評価していた通りカメラワークや構図が醸す雰囲気が良いです。
白黒ならではの陰影は方法が少ないからこそ個性を生みます。

物語の展開はツッコミどころしかないのですが、屋敷の主人が自身の内に棲みついている狂気に呑まれていく様子はしっかりゾッとしました。
消えてしまった妻の面影を忘れられず彷徨う男と、いつか愛したはずの男を探して彷徨う女の話…
簡単にいってしまうとこんな内容だけれど、それ以上に切なかったり恐ろしかったり。

今でいえば主人は名前のつく精神的な病かもしれないし、…本当に狂っているのかもしれない。
かといって正気を失っているのは彼だけではなくて、事件が度々起こる中で刑事やメイドのセシル、周辺の関係者らも徐々に判断力を失っていくんです。
そんな中で真に研ぎ澄まされているのは誰か。
それが全体像と秘密を察しているセシル、ただ1人でした。

作品として最後までしっかり楽しめるホラーだと思います。
60分弱と観やすいため、白黒映画が見慣れない方もぜひ。
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