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Summer of 85のmQのレビュー・感想・評価

Summer of 85(2020年製作の映画)
3.9
初っ端からハンティングされちゃった感満載の主人公アレックスが初心で可愛いです。笑
自由奔放で美しいダヴィドにあっという間に夢中になり、一方のダヴィド自身も愛を返してくれる様子に満たされる日々。
しかしある日からダヴィドは他の人ともデートや一夜を楽しむようになり、アレックスは徐々に苛立ちを募らせていきます。

相手を独占することと、相手を愛しているということはどこまで似ているのでしょう。沢山恋愛映画を見てきたけれど、愛が独占に変わると急に相手は人が変わったようになってしまって、まるで暴力を振るわれているような感覚になる…そういうシーンを多々観てきました。

アレックスは女の子からの積極的なアプローチにすら気付かないほど恋愛ド素人なため、ダヴィドが自分を愛しているという自信と確信が常に欲しくて、迫っちゃう。お〜いたたた…自分自身の恋愛と重ねて観ると面白いかもしれません。笑

監督からしてもそうですし、同性同士をテーマにした恋愛映画は大抵ロマンチックに終わらないとわかっていましたが、それでも後半は辛かったな〜…。

詳しくは書けませんが、アレックスは色んな中身の葛藤を抱かなきゃいけなくてとてもじゃないけど恋愛ド素人だった彼には身に余る衝撃ばっかりなんですよね。

あの時ああしておけばという激しい後悔と同時に脳裏に浮かぶ儚く凛としたダヴィドの姿を追い求めていくアレックスの表情の変化がびっくりするほど豊かで、演じたフェリックスに脱帽。(主演2人ともオーディションで見出されたって凄すぎます)

ラストシーンが好きすぎて、お気に入りの恋愛映画にしっかりランクインしました。
今作観て〝恋愛”に過去ってないと改めて思ったり。
今違う誰かと居ても、突然思い出して哀しくなったり恋しくなったりする誰かがいる。
それが良い思い出ではなかったとしても、その瞬間に居た幸せだったかもしれない自分を思い出すこともできます。

不思議。忘れようと必死だったけど、忘れなくても良いのか…
夏の映画だけど、オールシーズンおすすめです。
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