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小さな恋のメロディのHKのレビュー・感想・評価

小さな恋のメロディ(1971年製作の映画)
3.4
ワリス・フセイン監督、のちに「エンゼルハート」「ミッドナイトエクスプレス」などの監督で有名なアラン・パーカー脚本のイギリスの公立学校が舞台のラブストーリー

これも母親から勧められて見てみました。マークレスター、ジャックワイルド、トレイシーハイド。どれも可愛い顔していますね。イギリスの公立学校の光景などもよく見れて良かったと思います。

しかし、小学校時代にあまりいい思い出が無い小生がみても、正直言って嫌な気分にしかなりません。ずっと図書室で一人で本読んでたり机に突っ伏していたり軽い虐めを受けていた自分にとっては、ああやって和気藹々としている学校生活の光景が却って癪に障ります。もうちょっとちゃんとした子供時代を送っていればこうはならなかったかも。

世界基準で見ても、公立学校ってやっぱり酸いも甘いもいろいろな人間が入ってきますから、ああやって人がわんさかいる場面とか見ると目がくらくらしますね。集団に属するのが嫌な身分にとっては本当に気が参ります。

主人公に共感できるような部分があればある程度楽しめたかもしれませんが、自分は先生の後にくっついていく従順なタイプの人間だったので、ああいう先生に常に反抗的な態度を取って自由奔放に振る舞う人間が主人公の時点でもうだめです。

でも残念なことにそういう人の方がドラマを生みやすいんだから仕方ないですね。奥手にならずに普通にああやってダンスをしたりデートに誘うなんてね。出来るもんならやってみたいですね。

でも、この映画、もう一つテーマ性を持っているのが、後の「ぼくらの7日間戦争」にも通ずる子供たちによる大人世界からの独立戦争という面があります。

よくよく、勉強やしきたりなどに拘束される大人達より自由に振る舞う子供たちの方が優れているんだなんて、「子供の純粋性」を肯定的に捉える映画がわんさかありますが、そういうのははっきり言って気に入りません。

純粋ゆえにどれだけ過激なことをやっても構わないというある種のアナーキズムに染まってしまう部分もあります。そういう危険性も含めてアイロニーに包む作風は好きなんですけど、この映画はそこまで皮肉とか描いていいないそうで、完全に大人を悪として描いてしまっているのが頷けませんね。

最後の構図なんて完全に学級崩壊ですね。もう、そういうことをやって自由主義に燃える大衆主義にはうんざりです。

でも、この映画が日本で公開された当時、日本も高度経済成長期で国民全員で上昇志向に燃えたぎっていた時に、この映画が公開されたということを考えると当時見ていた人たちに人気だというのもうなずける。その結果が安保闘争なのかね。

まあ、自分には合わなかったけど、作品としてはイギリスの町をしっかりと眺めることができて良かったのかなと思います。所々くすっと笑うところもあるし、ダイナマイトで車を爆発するシーンも笑えたので、見れただけ良かったと思います。
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