成川ジロー

侍の成川ジローのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
4.4
侍と言う社会と言うか、時代に翻弄された一人の浪人の物語。
脚色した桜田門外の変の裏側みたいな感じだけど、脚本が素晴らしかったし、翻弄され続ける主人公を演じている三船敏郎が見てて苦しくなるくらい寂しい演技をしていて、その悲哀に泣かされそうになった。圧倒的被害者だし、その呪われた出自を含めて何一つ報われず、意図があったのかどうか分からないが、侍と言うものを物凄い空虚なものに感じた。本当に素晴らしい演技。
脇を固める他の役者たちも皆好演してる。特に伊藤雄之助演じる、テロリスト側のリーダー星野監物。あの冷血、狡がしこさ、悪さ、最高だった。
50年以上前の映画だけど、この頃の時代劇の殺陣は色褪せなくて、今見ても迫力と緊張感に溢れてるし、クライマックスの「桜田門外の変」のシーンは雪の降る中、侍たちの死に物狂いの度合いがしっかり画に現れていて非常に良かった。。。

最近時代劇にハマってて、燃えよ剣、斬る、侍と見てきたけど、今のところこれが一番面白かった。オススメ。
成川ジロー

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