成川ジロー

哀れなるものたちの成川ジローのネタバレレビュー・内容・結末

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

これは凄い興味深い素晴らしい作品だった!人を選ぶ作品だろうけど、刺さる人にはたまらない!評判通りめっちゃ面白い!
『聖なる鹿殺し』の時は不自由な人間の逃れられない圧倒的な抑圧と選択を見せられてバリー・コーガンの怪演もあってとんでもねえヤバいホラーな作品だったのが、今回は真に自由で強いベラをこれもまたエマ・ストーンが文句の付けようのない素晴らしい演技で表現してて、ベラに降り掛かる世の中の様々な抑圧を全て痛快にぶち破っていく最高の解放ファンタジー映画だった!プレイボーイもハラスメント将軍もベラの前では形無し!ありがとうベラ!彼女なりの理と愛がしっかり伴っているのがとても良い!前半の大冒険的な生(姓)の解放、後半の社会的な生の解放、共に滅茶苦茶良かったと思う。色彩豊かでトリップしそうな世界観も凄い良かった。リスボン、超行きたい!w

ベラ以外でも、倫理の問題はあれど自分はウィレム・デフォー演じるゴッド・バクスターが滅茶苦茶好きなキャラクターで、終盤に出生の秘密を知ったベラが彼らに「モンスター!」と吐き捨てるところは、成長して良識的なものを得てしまったベラがある意味不自由になってしまったかと悲しくなったんだけど(それを悪とは言えないが)、そこまで問題とせず戻ってきてくれて超嬉しかったし、それから結婚式の乱入者が現れた瞬間「え!?これもしかして残りの時間で痛快な復讐劇も見せてくれるの!?」って嬉しくなってベラの「行かせて」の台詞がなんか滅茶苦茶信頼出来てしまってて、そしたら見事にそいつがザ・ハラスメントな将軍で、全く物怖じしないベラが最高だったし、ゴッドの最後、一瞬「これハラスメント野郎に脳移植??」って疑ったけど、無事「死は興味深い」みたいな感じの科学者ゴッドの意志を最期まで尊重してくれたみたいでほんと良かった。

他の登場人物もかなり楽しい一筋縄ではいかなそうなばかりで、凄いな。ってか、マーク・ラファロのダンカン、可愛過ぎて嫌いになれないよ笑

原題的には「散々」みたいな感じでもあるのかな。ベラを捕え抑圧しようとしていた皆様、「散々」でしたね!って意味に思えますね笑
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