成川ジロー

カラーパープルの成川ジローのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
4.2
地獄の環境で希望を捨てずに生き続ける姉妹の話。奴隷根性が染み付けられてしまっている状態、環境から抜け出すのは本当に難しい。家の中での差別、男女の差別、人種の差別、複数の差別構造の一番下だから、本当につらい。彼女の周りに見本となる強い女性がいてくれて本当に良かった。セリーが遂に動き出す地獄の食卓のシーンは最高でした。拳を握りしめて泣いてしまった。
そこからは良いことばかりで、「行動する」「生きる」という事がキラキラしていたし、予告でも流れるから何度も見ているのだけど、And I Hereと歌い上げるところは立ち上がって拍手したくなった。それくらい生の喜びに満ちたパワフルで素晴らしい歌唱だった。素晴らしい。
歌とダンスは全体的にとても良くて、ミュージカルとしては凄い楽しめた。お見事。

お話的にはミスターが改心しても相変わらず手紙を渡さず自らの改心証明のために利用した気がしてどうしても許せず引っかかってしまった。土地を売って金を出したとしてもそれは独りよがりにしか思えない。サプライズじゃねえよ。まず手紙を渡すことが誠意だろ。中も見てるんじゃないよ。今までの自分が真に悪かったと悔いているのならばこういう事が無くても土地を売ってセリーに捧げておけよ。元々自分が追い出したネッティの逆境をまんまと利用したように見えてしまいました。シュグの話もあるから「赦し」と言うのもテーマにあるんだろうけど、全然許せない。

あと、むしろ妹のネッティの方の人生がセリーよりも相当な波乱万丈で動的な大冒険をしてるので、続編と言うか、外伝で良いからそちらの視点でのこの話もミュージカル映画化したらまた壮大な傑作になるんじゃないかと思えた。そっちも作ってください。それを作ったらラストの大団円シーンも真ん中の木がファミリーツリーって感じだし、より家族集結感が強まるんじゃないかな。タイトルのカラーパープル感はより薄まってしまうけど^^;
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