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武士の一分(いちぶん)のTom2022のレビュー・感想・評価

武士の一分(いちぶん)(2006年製作の映画)
3.0
山田洋次監督が、藤沢周平の原作を映画化した幕末における下位の武士の生き様を描いたシリーズの全3部作の第3作目です。なお、前作の「たそがれ清兵衛」や「隠し剣 鬼の爪」と話の繋がりは全くありません。

下位の武士である三村新之丞(木村拓哉)は、剣術道場を開きたい夢を持ちながらも、藩主の食事の毒味役を務めています。ある日、新之丞は、毒味をしたところ赤貝の毒により失明してしまいます。妻の加世は、その新之丞を献身的に支えていますが、だんだんとその生活が変わってしまいます。

一分とかいて「いちぶん」と読むのだそうです。映画の中では、武士のプライドとか誇りといった意味の様に使っていました。そして、この一分のために新之丞は、命をかけた果たし合いに挑みます。

藩主の食事の提供ってすごいですね。毒見から提供までが、まるで流れ作業のようで見ていて面白かったです😄。

障子扉の向こうに見える庭の季節の移り変わりが綺麗でした。特に、庭に蛍が飛び交うシーンはとても、雰囲気があってよかったです。

江戸時代には、炭の熱を使ったアイロンがあったんだという事を知りました。だから、偉い武士の服は、あの時代でもパリッとしているのですね。なかなか勉強になりますね🤔。

木村拓哉さんが演じていますが、目が見えない演技は大変だろなと思います。目が見えない動作はもちろんのこと、つまずいたり、物を落としたりが、自然な感じで違和感がありませんでした。

私は、特に、徳平役の笹野高史さんの演技が素晴らしいなと思いました。すごく自然で、動きと言うか、立場をわきまえた良い演技だなあと感心しました。

さて、このシリーズ全三作を見終わりました。どれも、江戸時代に生きる武士の心の葛藤と言うか苦しさがとてもよく表現された映画だと思います。それに、「がんす」という言葉が、とても耳に残る映画です😄。

このシリーズは、江戸時代のように争いのない安定した社会の中で生きる武士の生き方に興味がある人には、特におすすめの映画だと思います。
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