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鬼畜大宴会のkoyamaxのレビュー・感想・評価

鬼畜大宴会(1997年製作の映画)
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全く美しくない暴力と濡れ場(褒)
禍々しいムード作りが秀逸。

小さなグループが崩壊して、狂気と暴力に転ずる話。

学生運動や連合赤軍をモチーフにした話だとされていますが、
ストーリー的にその歴史や、末路など、あまり深く描いているわけではなく、、
閉ざされたコミュニティの中で発生する狂気と暴走を描くのに最適な状況として、この設定になったような感じです。


とにかく「救いがない」です笑
むしろ全員「救いようがない」し、なんならみんな粛正されたほうがよいのではないか?
とすら思わせてくれます。
実は事情があってだな。みたいなのは一切ありません。

特筆すべきはやはりこだわったグロ表現。
というより、これらの物理的グロを描くために用意された陰惨な世界という感じもあります。
こだわりのグロ!笑 素晴らしいです。


以下個人感想的に。。

目に入るもの、汚れた部屋、湿気が多い森、淀んだ眼、顔、色々なものが徹底して不快です笑
ミニマルな世界でイキがる女ボスや付和雷同的な男たちの行動も見た目も。
そして彼らの行動原理もとにかく同調できる気持ちになりません。
集団リンチに加担している気分にもなりますので爽快さはなく嫌悪感がむしろ高いです^^;


ただ通常生活していれば、全く理解できない価値観であるはずですが、隔絶された世界の中で生きていると、つけあがる者はつけあがり、止める者もなく、こうなるかもしれないという、妙にリアルな感じがありました。


陰惨この上ない話を黙示録的に描いています。
それが全体としては一本調子で、最初の印象からさらなる展開がなく、徹底した表現の暁にある、感情が突き抜ける感覚や「こいつ」のこのあとの行動が観たい。というような人物にたいしての「かわいげ」みたいな感じを抱けなかったのも、その視点故なんでしょうか?


大阪芸大卒業制作として制作された本作。
大阪芸大出身の方々と交流がありましたが、「鬼畜前」と「鬼畜後」みたいな感じで皆さん語っているのが印象的でした。
初見時は衝撃的でしたし、密閉された劇場内では「異常さ」に飲み込まれて具合悪くなる人いましたね。。
もともと学生映画で、濡れ場と暴力を描くだけでも神格化されるきらいありますが、、
このムード作りにより、学生映画の一つの到達点的な存在になったことは確かです(^^
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