マヒロ

X-MEN2のマヒロのレビュー・感想・評価

X-MEN2(2003年製作の映画)
3.5
(2024.29)
ミュータントの存在を脅威に感じたアメリカ政府は、対策としてストライカーという男を呼び寄せる。ストライカーはプロフェッサーXを騙し討ちで捕らえ、彼の能力と“セレブロ”と呼ばれる交信装置を利用してミュータントを根絶しようとする。それを阻止するために救出に向かう教え子たちの元に、敵対していたはずのマグニートーが現れ行動を共にすることになる……というお話。

『X-MEN』シリーズの2作目。
物語を進展させるというよりはキャラクターの掘り下げをメインとしているような印象で、メインキャラ達の関係性などを深掘りしたり、ミュータントとして生きることの苦悩をよりストレートに描いたりと、作品世界の奥行きを拡げてくれるような作品だと思った。特に面白いなと思ったのは、冷気を操る“アイスマン”ことボビーの実家に行く場面で、家族に自身がミュータントであることを打ち明ける場面がマイノリティのカムアウトのように描かれており、ミュータントが現実世界でいう何のメタファーなのかがより明確に分かるように撮られていると思った。
ウルヴァリン以外の学園のメンバーも記号的でない人間臭さを垣間見せる場面が増えて、前作の最大の不満点だったチームなのに協力している感じが薄いというところは解消されているのも良かった。

ただ、色々やろうとした結果なのか何となく焦点が定まっていないところもあり、ウルヴァリンの活躍を控えめにしてそれぞれに見せ場を持たせた結果、リードしがちなのはウルヴァリン、最も印象深いシーンはアイスマン、話の核になるのはプロフェッサーとマグニートー、ラストで良いところを持っていくのはジーン……みたいな感じで主人公不在みたいな形になってしまい、全体的にフワッとした印象になってしまったような。群像劇というほどには物語の積み重ねがあるわけではないので、薄味になってしまったのかも。
ヴィランもやってることはなかなか悪いが結局は普通の人間のおっさんなので、最後の戦いにもそこまで緊張感がないのも気になる。
『X-MEN』という題材を持て余していたような前作に比べるとだいぶ土台がしっかりしてはいるが、手放しで傑作と言えるような飛び抜けた良さはまだ無いかなと思った。
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