マヒロ

孤独な場所でのマヒロのレビュー・感想・評価

孤独な場所で(1950年製作の映画)
3.5
ハリウッド映画の脚本家ディックス(ハンフリー・ボガート)は、自身の脚本を読ませるために街で出会った女性を自宅に連れ帰るが、その女性が帰路で何者かに殺されるという事件が起きる。最後に出会った人間ということで警察に疑われるディックスだが、向かいに住む女性・ローレル(グロリア・グレアム)の証言で潔白が証明され、それをきっかけに二人は交際するようになるが……というお話。

ハリウッドを舞台に、ボギー演じる皮肉屋の男が殺人事件に巻き込まれ、そこに謎の女性が現れる……という王道ノワールものっぽい展開を見せながら、途中から思っても見ない方向に物語の舵が切られるという裏切りにビックリさせられる映画だった。
ストーリーの発展のきっかけとなる殺人事件についてもそこそこに、主人公であるディックスとローレルの間の話に収縮していき、二人のヒリヒリとした人間関係みたいなところがメインになっていく。この時代の映画なので直接的なシーンは出てこないが、常に暴力の臭いが充満しているような恐ろしさがあり、違う意味で怖い映画になっていく。瞬間湯沸かし器のようなボギーの演技が恐ろしくて、この人のこと侮ってたかもと思えた。

ハンフリー・ボガートが出ている映画やノワール作品を観ている人ほど展開に騙されるような作品という感じがして、もっと色々観てから出会いたかった作品だったかも。そうでなくても面白かったが。

(2021.182)
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