Jaya

鬼の棲む館のJayaのネタバレレビュー・内容・結末

鬼の棲む館(1969年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

南北朝時代の山奥の古寺にて盗人と元妻と女狐と僧侶がかち合うお話。説話のような谷崎原作から大きな改変。でもスチールで落ちが読めるという。

楓に焦点を当てた浮世離れしまくった話の展開は素晴らしかったのですが、後半の愛染と上人の対決には無理が。そもそも愛染の妖艶さが映像的に全然出ていない。替え玉ヌードも効果ゼロで、無理なことするもんじゃないなあ。

太郎こと勝新太郎と楓こと高峰秀子の楓の演技がえげつなかったです。太郎の粗暴ながら根は小者な様子、楓の執念深く肚の裡を一切出さない様子が恐ろしく巧妙に演じられていて鳥肌立ちました。愛染と上人の方も凄かったんですが、そもそも脚本にかなり無理がありハマっていないように思いました。

映像も素晴らしかったです。撮影、照明ともにハイレベルで、特に楓の不気味な雰囲気が強烈に描き出されていました。劇伴はメロドラマみたいでイマイチ。

後半の出来は今一つだと思いましたが、抜群の演技と映像で執念に蠢く面々を描いた名作でした。
Jaya

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