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少年と自転車のRのレビュー・感想・評価

少年と自転車(2011年製作の映画)
4.3
これ、やばい。やばすぎる。映画館で見なくてよかった。こんなん映画館でみてたら、絶対に立てなくなってた。一生に一本、出会えるか出会えないか、それくらいの映画。ダルデンヌ兄弟、すごすぎる、どんどん純度あがってる。とにかく、いろいろの果てのあのラストシーンの、さいごのさいごが!やばすぎる。こいつは人生に響きますよ。

⬆️1回目見たときの感想っす。さて、好きな映画は何度も見て愛を深めていくタチなので、久々に見てみました。ら、前半は何度も何度も涙が溢れてやっぱこれはヤバい!ってなったんやけど、後半はアレ?何かちょっと気になるゾ…ってポイントが…全体としては素直に感動できなくなってしまいました…ざんねんーーーー!!! けど前半はホントにすばらしい。主人公の少年シリルは、父親に捨てられて児童センターみたいなとこで暮らしてるんやけど、どうしても父を探し出したい一心で、センターから逃げ出し、職員と追っかけっこ。もう捕まってまう!ってなったとき、たまたまそこらへんにいたおばさんに抱きついて帰るのを断固拒む。けど結局連れてかれた彼のところに、そのおばさんサマンサは、後日再びやってくる、父が以前彼に与えた自転車を携えて。自転車を探してるんだ!って彼が叫んでたのを耳にして、売り払われてたそのチャリを買い戻して持ってきてあげたのだ。小さな美容室を経営する独身のサマンサに、シリルは、週末だけ里親になってくれ、とお願いし、サマンサはそれを受け入れるのだが…って流れで、サマンサが明確な理由なく、問題だらけでワガママ放題なシリルに、ストレートな愛情で体当たりしていくプロセスが描かれていく。サマンサの中の衝動のように強い愛情が、シリルとの出会いで堰を切ったように解放されていくのを目の当たりにするのはホントに感動的。こういうの見ると、そういう強い利他的感情って、ほんとは誰の中にも本来備わってて、何かのきっかけでそれが発動されることがあれば、その人の人生の意味は大きく変わってくんだろうな、と思った。見ず知らずだった男の子のために、彼女に人生の大きな一部を棄てることすらさせてしまう慈悲の心。西欧諸国では、ほとんど無私の奉仕とも言えるような養子縁組に積極的である人が多いのに対し、日本でそういうのが全く話題にならないのは、一体何が原因なのだろう。社会制度、経済状態、宗教観など様々な原因があるだろう。けどやっぱ日本人の排他性はレベル高いんやろーな、とこういうの見ると思っちゃうよね。なので、そこそこ多くの人が、サマンサの彼氏に感情移入するんじゃないだろうか。と、この辺まではぜんぜん興味深く見れたんやけど、今回はあのヤンキーみたいなのが出て来るあたりから、ちょっとんーーーてなった。なぜそうなったかは、見たら分かると思うんやけど、とりわけ気になったのは、あのバットのシーン。いやいや、そんなすぐスイッチオフにならんでしょーってのが気になりすぎたし、その後の展開もちょっと全部ザックリしすぎな気が。あの最後の親子もやけど、キャラ造形に娯楽映画っぽい一面的な偏りがあって、いかにもヨーロッパの芸術映画っぽい本作の雰囲気のなかでちょっと浮いてる感じした。とはいえ、ラストシーンはやはり素晴らしかったけどね。けどちょっと感動そがれたかなー。ちなみにサマンサ演じるセシルドゥフランス、役柄にすげー説得力があって、美しくてすばらしいし、男の子はいつも真っ赤な服を着てるねんけど、白い肌と金髪との色彩がめちゃくちゃキレイで見とれてしまった。決定的なタイミングで何度か流れる音楽がまたすごくハートに響いて、特に前半は涙がぶわって出た。またそのうちもう一回見て、あれ? やっぱ文句なしサイコーやわ! って感想が変わったらもっかい書きますー笑
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