かつきよ

カンフー・パンダ2のかつきよのレビュー・感想・評価

カンフー・パンダ2(2011年製作の映画)
4.2


前作が気に入ったため鑑賞しました。
サブストーリーであるマスターファイブの秘密やホリデイ、アニメシリーズも一部鑑賞しましたが、これらは鑑賞せずにナンバリングだけ見ても全く問題はありません。
特にアニメシリーズはオリジナル?の設定やキャラクタが多く、同じ原作の別作品と言った感じで、正史ではない可能性が高いです。(どうやらパラレルワールド扱いのようです)
スペシャル版は、キャラの造形が深まるのでオススメです。

さて、本編についてですが、実は3まで鑑賞しましたが、三部作の中で一番完成度が高く、メッセージ性も濃厚な傑作だと思います。

前回はメッセージ性がそこまで高くなかったのに対して、今作は打って変わって、かなりメッセージ性は濃密です。
エンタメに振り切っていたとはいえ、前作では、龍の戦士に選ばれたポーの葛藤と、自分らしさが最大の武器になる、心の持ちようの大切さや、自分や誰かを信じることの大切さが根底のテーマとしてありました。今作はそれをさらに一歩進めたテーマに踏み込んでいるように思います。

今作では、前作で誰もが疑問に思った、ミスターピンとポーの親子関係の真相を描かれています。
自分が何者なのか、アイデンティティの揺らぎ、探求、そして確立が一本の映画の中で丁寧に描かれております。(やや丁寧すぎますが、そのテンポ感が子供も楽しめるこの映画独特の利点だとも思っております。)

しかし、ポーの出生に関しては冒頭五分で詳らかになりますし、そこから最後の展開までストーリー自体は予測可能なほど王道なストーリーですので、ミステリ要素や予想外の展開を楽しむような展開はありません。
その王道のストーリーを、かなり詳らかに、そしてかなりハイクオリティな映像美と演出の妙で描き出しているため、キャラクタの心情や、テーマの重さが画面からひしひしと伝わってきて、映画全体に訴求力があります。

特に、「内なる平和」のシークエンスは、三部作でも随一の迫力がありますので、とても気に入っております。
内なる平和、というエッセンス自体も、物語とポーを通して、かなり道徳的に強いメッセージ性の一つの役割を担っています。
ポーがどう自分の過去と向き合い、どうアイデンティティや内なる平和を獲得していくのか、というのがこの映画最大の見どころですね。
一作の完結性を高めるためか、一応ファミリー向けでもございますので、前回同様かなりテンポはいいです。ポーの成長速度に関しては、すこし速すぎるなとは思いますが、ストーリーのコンパクトさと前作での彼の活躍を鑑みれば大きな評価点にはなりません。今回は前回に比べて演出も丁寧ですしね!

彼と同等か、それ以上の葛藤も周囲のキャラクタにはあるはずだと思うのですが、それはまあ主人公補正ということで!3作見ると、そもそもこの世界においてパンダという生物がすこし特別な存在として位置しているのかな?とも思えますし…

大人向けと完全に言い切るには少しファンタジー色やご都合展開色が強いのですが、それを差し置いても大人も楽しめる名作に仕上がっていることは間違いありません。

見どころその2としましては、やはりキャラクタの動きです。
表情豊かで様々な動きを見せてくれるキャラクターは、見ていて全く飽きません。
また、前作では出会いが描かれていましたが、マスターファイブやシーフー老子とポーとの関係性が仕上がっている所から物語は始まっておりますので、このキャラクタたちの掛け合いを見ているだけでも相当ほっこりします。

カンフーパンダ初代が気に入った方は必ず2も気にいるはずですので、是非ご覧ください!
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