真っ黒こげ太郎

捜査官Xの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

捜査官X(2011年製作の映画)
4.5
他の人も皆同じ事を言ってるかもしれないが、あえて言わせてくれ。


  お  前  の  様  な  平  凡  な  男  が   い  る  か  !




1917年。
とある小さな村で起こった、奇妙な事件。
換金店に押し入った強盗2人が、すったもんだの末に死を遂げたのだ。

捜査官シュウが役人と共に検死に赴くが、強盗2人は武術に長けた凶悪犯にも関わらず、殺しのプロが如き手口で殺されてたのだ。
しかし、現場に居合わせていたのは、演じているのが「宇宙最強」の異名をとる超絶アクション俳優、ドニー・イェンさんが演じている事を除けば極めて平凡(笑)な男である紙職人のリウ・ジンシーだった。

シュウはそんなごく平凡(爆笑)な男のジンシーを怪しんで、収容に調べることに。
シュウは過去にとある少年を無罪放免にした所為で家族を失い、それ以来法を守る信念を持っていたのだ。

ジンシーはごく普通な家庭で妻と子供と共に平穏に暮らしており、村の人からも慕われていた。
そんな彼も色々と訳アリな過去を持ち、平凡な男として生きていたのだ。
そしてシュウもジンシーが只物ではない事を知る。(当たり前だろw)

そんな中、町に凶悪な暗殺集団である「七十二地刹(ちさつ)」が現れ人々を襲う!!!
平凡(大草原不可避)な男ではなかったジンシーは家族を守るため、「七十二地刹」に戦いを挑むのだった。



とある凶悪犯を偶然倒した平凡な男の正体に、天才捜査官が迫る、ミステリー・カンフー・アクション。
主演はドニー・イェンさんと金城武さんで、監督は「ウォーロード/男たちの誓い」のピーター・チャンさん。


パッと見はミステリー映画みてーなジャケだが、実際はドニーさん版「片腕ドラゴン」だった!?な今作。
「イップ・マン」シリーズで葉間の魂を受け継ぎ「レジェンド・オブ・フィスト/怒りの鉄拳」でブルース・リーさんの魂(と怪鳥音)を響かせ、最近では「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION」でデブゴンまでも受け継いで、次々と歴代の功夫の魂を受け継ぎつつあるドニー・イェンさん。
「早くドニーさんのデブゴンが見てぇ!!!」とヤキモキしながらも、来るべき日に備えて鑑賞。w



お話は上記の通り、「訳アリな男がカタギになって暮らしてたら足付いちゃって、過去の自分と向き合う」系の、ま~ありがちな話ですね。
予告編では「平凡な男が何故」的な感じで引っ張ってたけど、そもそも演じてるのが超絶功夫アクションでお馴染みのドニーさんな時点で平凡もへったくれもないよなぁ。wwwwwwwwwwwwwwww

でもお話は丁寧で、アクションメインでない前半も普通に楽しいし、捜査官が男の正体を推理で迫っていく内容も面白かった。
妄想推理中はドニーさんのアグレッシ部なハードアクションが展開されるので、アクション面も満足。
キャラの書き分けも良く出来ていて、真面目で優しい性格だが血濡れた過去を持つ男(ドニーさん)と過去のアレコレから犯人に執着する捜査官(武さん)のドラマも面白く出来てる。
(捜査官が男の家に泊まってアレコレする辺りは少々アレだったが、恐らく捜査官のクレイジーっぷりを現してるのだろう。w)

そんで後半、暗殺集団が色々あって(手抜きw)襲ってくるわけだが、ここで男が自身の正体を現す場面が実にカッコいい。
その後はお約束のカンフーアクションバトル展開になだれ込んでゆくわけだが、カンフーアクションシーンはベテランアクション監督でもあるドニーさんが手掛けているだけあって見事なクオリティ。

更に暗殺集団のクレイジーっぷりも半端じゃなく、特にリーダー役を演じる「天皇巨星」ことジミー・ウォングさん(以降ジミーさん)が滅茶苦茶怖い!!!
「片腕カンフー」から年月が経ちすっかりお爺ちゃんになってましたが、笑ってない目つきがますますパワーアップして貫禄も出まくり。
クライマックス、戦いの前の食卓を囲むシーンは完全に悪夢。
間違ってもあの卓は囲みたくありません…。
強さも半端じゃなく、刀を生身で(!?)弾き返し、凄まじい動きで暴れるドニーさんを寄せ付けずフルボッコ!!!まさに天皇巨星!!!(訳わからん。)
家族を狙う姿も怖すぎて、ターミネーターも真っ青です。w


そんなこんなでアクション、登場キャラの人間ドラマ共によく出来ていて、メチャクチャ面白かったんですが、唯一の難点がラストバトルの決着のつけ方。
最後の最後で物凄いつまんない&唐突に終わっちゃうんですよね…。
最後の最後で捻らなくても良かったのに…。
(ロス・ボヤスク監督作じゃないんだからさぁ…。)



まぁそんな感じで難点もありましたが、ドニーさんのアクションは素晴らしいし、ドラマも良く出来ていて楽しかったので、ドニーさんのファンや香港カンフーアクション好きなら十分楽しめますよ。

さて、ドニーさん版の「デブゴン」を拝めるのは何時になるやら…。