ぎー

ゆれるのぎーのレビュー・感想・評価

ゆれる(2006年製作の映画)
3.5
【西川美和特集3作品目】
「あの橋を渡るまでは、兄弟でした。」
この映画を撮った時、西川監督は30代前半。
絶対に嘘だと思える完成度の高さ。
心理描写、言葉や音楽に頼らない緊張感の出し方。
凄すぎる。

「ディア・ドクター」が、どうして主人公の医師が失踪したのか、サスペンス要素を持ちながら没頭して鑑賞できたのと同じように、果たして女性転落事件、いや、事故、は何が真相なのかサスペンス要素を持ちながら映画にのめり込んでいくことができる作品。
ただ、ただのサスペンス映画では全くない。
そこで描かれているのは、田舎で出会いもなく、老いた父親の面倒を見ながら日々を過ごす、優しくしっかりとした素晴らしい中年。
そして、一度は社会に出ながら経済的な巡り合わせで、望んでいなかったにも関わらず田舎に戻ってきた美女。
それを映す主人公である。

恐ろしいほど社会の縮図だと思う。
映画ではないから、なかなか"死"には至らないと思うが。
山梨の美しい風景もあって、より一層現実味が凄かった。

オダギリジョー演じる弟の心情も分からなくもない。
でも、流石に全て甘えさせてもらった兄をブタ箱に送り込む証言はあり得ないのではないかと思ってしまった。
これは好みだと思う。
その点を除けば素晴らしく繊細で完璧な映画だと思う。
ちなみに、どうでも良いけど真木よう子はかなりの田舎女を演じていたけど、圧倒的に美しかった。
色気を隠せてなかったな。
ぎー

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