ぎー

護られなかった者たちへのぎーのレビュー・感想・評価

護られなかった者たちへ(2021年製作の映画)
3.5
【第45回日本アカデミー賞特集2作品目】
【瀬々敬久特集2作品目】
"10年目の殺人。罪を犯してまで、護りたかったものとは。"
エンタメとしての映画作品ではないけど、全日本人が見た方が良い映画作品。
これほど生活保護に焦点を当てた作品が過去あっただろうか。
生活保護を受ける人々の課題、問題点。
生活保護を執行する人々の課題、問題点。
そして、生活保護という制度の課題、問題点。
生活保護は"最初で最後のセーフティーネット"と言う言葉を教科書で読んだり授業で教わったりしてきたけど、そのことを心の底からはっきりと認識することができた。

東日本大震災も映画のテーマとして扱われるようになってきた。
本作に先立って既に『Fukushima 50』『凪待ち』といった作品が公開されているが。
避難所の生活など震災の直接的なダメージを真正面から扱ったヒット作は本作ぐらいではないか。

非常に興味深いテーマ設定であった一方で、やや脚本には思うところがあったのも事実。
あれだけ警戒体制が敷かれている中で、そんなに容易に衆議院議員が誘拐されてしまってはいけないと思う。
真犯人もケースワーカーとして働く幹子だったが、生活保護を扱う人々や制度への不満は分かるが、誘拐、殺人に至る動機はやや飛躍が大きかった印象があった。

幹子がケースワーカーとして受給者(ケースワーカーに知らせずにパートで働く母親、ケースワーカーを騙して生活保護受給しつつ高級車を保有する男などなど)に対応する場面は、恥ずかしながら日常的にそういった仕事に思いを馳せていない自分だからこそ興味深く、考えさせられた。
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