ぎー

とんびのぎーのレビュー・感想・評価

とんび(2022年製作の映画)
4.0
【瀬々敬久特集1作品目】
"どうしようもなく不器用な父が、ただ一つ、僕を精一杯愛してくれた30年の物語"
良い映画とは聞いていたけど、想像を遥かに上回る感動大作だった。
親子愛を真正面から描きに描き切った作品。
それもいわゆる古き良き、"日本らしい"親子愛。
父親が不器用で、息子がしっかり者。
その不器用な父親を阿部寛が演じて、しっかり者の息子を北村匠海が演じているのだから、もうどうしようもない。
不慮の事故で母親が亡くなり、家族は父と子しかいない。
繰り返しになるが、父親はどうしようもなく不器用で色々と至らない。
その至らない点を周囲の人々が必死に愛情を持って余りあるほどに補い、子供を育てるのだ。
こんなに温かく、愛に溢れた事があろうか。
瀬々監督らしく、やや過剰な演出はあるものの、皆ただただ感動に浸りたくて鑑賞している本作においては完全にそれも良い方向に作用している。
子供が出来たばかりの父親であり、田舎出身で上京して生きている自分にとっては、人一倍色々思うところがあり、久しぶりに号泣が止まらない映画となった。

夜の海岸で皆で主人公アキラ君の背中に手を当てて温める場面。
小料理屋の女将を実の娘が結婚報告に訪れ、女将が料理を振る舞う場面。
大学入学のために上京するアキラをヤス達が見送る場面。
アキラが結婚を認めてもらおうと帰省し、皆で小料理屋でご飯を食べて、親子で祭りの神輿を担ぐ場面。
嗚咽を禁じ得ない場面が作中にいっぱいあった。
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