ぎー

騙し絵の牙のぎーのレビュー・感想・評価

騙し絵の牙(2021年製作の映画)
3.5
【第45回日本アカデミー賞特集3作品目】
"バカか救世主か。"
大泉洋、松岡茉優、池田エライザ、斎藤工、中村倫也、佐野史郎、リリー・フランキー、國村隼、木村佳乃、小林聡美、佐藤浩一。
キャストが豪華すぎる。
大泉洋が出てれば大体良い映画だし、なんか悔しいけど松岡茉優が出てると大体しっかりした映画。
ただ豪華なだけじゃなくて、配役も見事だった。
佐野史郎や國村隼、佐藤浩一、木村佳乃といった大御所が演じるキャラクターがことごとく大泉洋演じる編集長にしてやられるのも気持ち良い。
特にいろんな作品で痛い目を見る偉い人役を演じる佐藤史郎は流石のやられっぷりだった。
そんな大泉洋演じる編集長でさえ手に負えない名作家を演じるリリー・フランキーや、最終的に我が道で夢を勝ち取る松岡茉優演じる編集者の主人公感もイメージ通り。
ストーリーも大泉洋がとにかく仕掛けて、騙して、動きまくる、動きの多い展開になっていて、見ていて飽きない、かなり良いエンタメ作品だったと思う。
ちなみに池田エライザが大人気なのはよく知ってたけど、ここまで美人だと認識したのは初めてだった。

出版社を映画の舞台にしたのは面白かった。
似たようなクリエイティブ系のお仕事映画だと、直近『ハケンアニメ!』や『バクマン』があったけど、全然違う。
同じモノを作る業界とはいえ、それらはアニメや漫画だったりと、トレンドを掴むことが正であることを疑う人はいない業界。
出版社は全然違って、中にはそう言う人々もいるけど、古くて固定観念に凝り固まってる人々もまたいる。
だから銀行とかと違って大した社員数がいるわけでもないのに、派閥争いや権力闘争にあけくれて、なんなら部門間で作家を取り合ったりしてる。
流石にかなり誇張してるところはあるとは思うけど、多分にそういったところはあると思う。

真面目な話、彼のやり方がどうなの?って感じる人もいるかもしれないけど、作中の大泉洋ほど真面目に仕事をしている人はいない。
「おもちゃにしたっていいじゃない。みんなで使えば。」
「思っているより時間は早く過ぎる。時間に追いつかれないためには難しい道を行くしかない。」
全部を覚えているわけではないけど、ハッとさせられる言葉が数多くあった。
面白いことが大事で、固定観念や先例にとらわれずにぶち壊すことが大事。
当たり前のことだけど、なんだか大泉洋の口を通して語られると説得力あるんだよな。
ぎー

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