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シャイアンのHKのレビュー・感想・評価

シャイアン(1964年製作の映画)
3.3
シャイアンとは本来移動型の狩猟生活を営んでいたインディアンの一部族。
それまでのインディアンへの贖罪を込めて撮ったと言われる巨匠ジョン・フォード(当時70歳)最後の西部劇であり史実をもとに製作された70ミリ大作。

1878年、アメリカ政府に故郷のワイオミングからオクラホマの居留地に強制移住させられた1000人以上のシャイアン族は劣悪な環境下で飢餓や病気のため300人足らずに激減。
我慢の限界を超えた彼らは居留地から故郷へと集団移動を開始しますが、反逆とみなした政府は騎兵隊による非情な追い打ちをかけます。

かなり昔に一度観ていますが印象は弱く、時間を空けての再挑戦です。モニュメント・バレーは絶景ですが、やはり題材のせいかあまり盛り上がることなく地味に終了。
フォード自身も暗くてユーモアに欠けると思ったのか、映画の真ん中にワイアット・アープが登場するダッジシティのドタバタ・シークエンスを挟みますが、気分転換にはなったものの、取ってつけたような違和感は否めません。

インデイアンに同情的な騎兵隊の将校リチャード・ウィドマークはこんな大作の主役に収まるのはなんだか居心地が悪そう。
インディアンの子どもたちに英語を教える学校の美人の先生にキャロル・ベーカー。
ウィドマークと対照的に命令一筋の騎兵隊将校にカール・マルデン。
マルデンはウィドマークのデビュー作『死の接吻』から共演仲間です。

シャイアン側の主要キャラではリーダー役に『スター・トレック』のカーンことリカルド・モンタルバン(メキシコ出身)。好戦的な若きシャイアンに『理由なき反抗』のサル・ミネオ(イタリア系)。その母親にはドロレス・デル・リオ(メキシコ出身)。
本物のインディアンはエキストラだけですが、当時としては本物がいるだけマシな方(?)

他には血気盛んな騎兵隊の若者にJ・ウェインの息子パトリック・ウェイン。
アメリカ内務長官には重鎮エドワード・G・ロビンソン。
真ん中のダッジシティのパートではワイアット・アープにジェームズ・スチュワート。
ドク・ホリデイはアーサー・ケネディ。『OK牧場の決闘』と同じで二人とも何故か髭ナシ。
ノン・クレジットですがベン・ジョンソンも出てました。

音楽は『スパルタカス』『クレオパトラ』などのアレックス・ノース。
原題は“Cheyenne Autumn”(シャイアンの秋)
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