KouheiNakamura

夕陽のガンマンのKouheiNakamuraのレビュー・感想・評価

夕陽のガンマン(1965年製作の映画)
5.0
復讐の音を聴け!


個人的オールタイムベストの一本。「荒野の用心棒」で一躍名を馳せたセルジオ・レオーネ監督とクリント・イーストウッドが再びタッグを組んだ傑作マカロニ・ウエスタン!二人の対照的な賞金稼ぎが極悪賞金首と闘う様を描く。

今さら僕などがどうこう言っても仕方ないくらいの超傑作だが、改めてその魅力を確認してみよう。
学生時代に一度観たきりだったので、今回再見してみたのだが…。まずは、そのシンプルなストーリーに驚かされた。二人の個性的かつ対照的な賞金稼ぎが極悪賞金首に挑む。基本的にはそれだけの話だ。非常にアクの強いキャラクターたちが出てくるが、彼らの過去について掘り下げたり余計なドラマは一切なし!潔いほどの割り切りぶりで、とにかく美しく計算しつくされたカメラと役者のアップ、エンニオ・モリコーネの素晴らしい音楽で魅せる魅せる。レオーネ監督お得意の長〜いワンカットが冴え渡り、役者たちの細かい表情の変化で全てを物語る。長い静寂、それを打ち破る銃声、鳴り響く音楽。完璧だ。これ以上映画に何が必要なのだろうか?
役者に関して言うと、主演のクリント・イーストウッドが恐ろしいほどカッコイイのはもちろん、この映画に関してはやはりリー・ヴァン・クリーフが全てを持っていく。鷹のように鋭く、時折人間らしさを垣間見せる眼。ロングコートが良く似合う立ち姿。血気盛んなイーストウッドをたしなめる大人の色気。クライマックスの決闘で見せる一瞬の葛藤と確固たる決意。どれをとっても銀幕のスターとしての魅力に溢れている。
また、悪役であるジャン・マリア・ヴォロンテの陶然とした表情やクラウス・キンスキーのアクの強さも見逃せない。宿屋の主人や女将、こまっしゃくれた子供、目を見開きまくる老人など脇役も濃い。

もし、もしもあなたがまだマカロニ・ウエスタンを一本も観たことがないならば。俳優としてのクリント・イーストウッドを知らないならば。大画面で観るべき映画を知らないならば。今すぐにでも観て欲しい作品だ。
漢とはなんぞや、カッコいいとはなんぞや、映画とは…その答えはこの一本に全て詰まっている。超オススメです!
KouheiNakamura

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