馬井太郎

秋刀魚の味の馬井太郎のレビュー・感想・評価

秋刀魚の味(1962年製作の映画)
4.0
秋刀魚が豊漁で安く買えるようになった。昨日も、大根おろしをいっぱいかけて食べた。美味い。はらわたと骨までしゃぶって、残ったのは、頭と背骨だけ。(2014.10.9)

この映画に、秋刀魚は、出てこない。それでも、見終わった後、食べたような気持ちになるのは、不思議な満足感である。
お見合いを世話する、という、この時代の社会通念であった。
東野英治郎と杉村春子の親子がいい。徐々に酔っ払っていくところは、地でいけたのか。これも秋刀魚の味のひとつであろう。
岩下、岡田の対比としての嫁ぎ遅れた杉村春子、酔っ払って帰ってきた父東野とのシーンが、胸に痛い。
叙勲の時期になると頭に浮かぶ。1995年、杉村春子は、文化勲章を辞退した。当時、大きな話題になったものである。信念を通した大きな女優であった。