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アメリカン・ジゴロのRのレビュー・感想・評価

アメリカン・ジゴロ(1980年製作の映画)
3.7
若かりしピカピカのリチャードギアが、アルマーニに身を包む80‘sのイケてるジゴロを演じてるということで、そりゃ見ないわけにはいくまい、と思って見てみました。ギア演じるジュリアンは、何でもかんでもすぐ濡れる若い女には関心がなく、夫との長きに渡るセックスレス生活で枯れ果てたお股に、ケアと技術でもって潤いを取り戻させることに情熱を感じるジゴロ。ものすごいイケメンさとぶりぶりの肉体と素晴らしいテクのため、中高年のスーパーリッチなおば(あ)さまたちからお声がかかりまくり。ある日、有名な上院議員の奥さんミシェルと出会い、不思議な成り行きで個人的な関係を持つようになり、お互いの立場を意識しながらも、二人の間に特別な感情が生まれ始める。と、同時に、いやいやこなしたSMセックスの仕事相手がその直後に殺害されたことを知り、その時間にアリバイのないジュリアンは嫌疑をかけられることに。もちろん自分はやってないので、最初は大して気に留めてなかったが、ジュリアンが犯人であることを示す証拠品が次々と出てきて、何者かにハメられてるのでは…と探り始める。って流れで、本作を好きになるには、大前提として、ジュリアンとミシェルを好きになれなければならないと思うのです。僕としては、ジュリアンは好きになれた。職業的にも報酬的にも申し分なく満足してて、自分に自信があるし、高価なものに囲まれて生活してる。でも、何気ないシーン、例えばベッドに服を並べてどれを着ようか迷うシーンや、ひとり街を歩いたり、車を走らせるシーンでは、そこはかとなく孤独を感じさせる。本当に心許せるひとのいないライフ。いいですねー。しかし、ミシェルはどうも好きになれなかった。演じてるローレンハットンという女優が、ジュリアンに思い込ませてるような純情な人妻にぜんぜん見えないのです。誰からもチヤホヤされるだろう美貌、頭のキレそうな眼光、酒やタバコで焼けた声……悲惨な人妻って設定やけど、フェイダナウェイくらい強かさそうな印象。なよなよっと苦悩する女を巧みに演じてるようにしか見えない。それが気になりすぎて、ぜんぜん素直な気持ちで見れなかったよ。ジュリアンちょっと頭弱そうやから、どんどんハマっていくし、ハメられていく。サスペンスの方もなーんか緊迫感なく、淡々と、というよりは、ダラダラと続いて一向に盛り上がらない。しかもBGM、アマチュアがシンセで適当に作ったような安っぽさじゃありませんか? 気のせい? けど、いくつか印象に残るシーンもあり。やはり一番はセックスの後、リチャードギアがフルモンティで窓辺に立ってるシーン。 ペニスがあらわ! あと、高級品オークション会場でお得意様の婆さんと歩いてたら、婆さんの友だちが向こうから歩いてきて、ジュリアンがオカマちゃんのフリをするシーンは笑ったし、当時のLAゲイシーンもさらっと盛り込まれてるの興味深かった。最後は…アンチミシェルの僕にとってはいいんだか、悪いんだか、何なんだか、何とも言えない終わり方でした。ナイスイケメンがナイスバディーをこれでもかと披露してるのを拝みたい方には、本作の中盤までをオススメしたいと思います。
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