タスマニア

ペパーミント・キャンディーのタスマニアのレビュー・感想・評価

3.5
2020年193本目。

なんという映画だ。
この先の自分の人生でも何かの拍子に「あの頃に戻りたい」と思う瞬間が来るたびに、この映画を思い出してしまうだろう。
たかだか約30年の人生でも、20年前の自分が来るとは思っていなかった場所に来てしまっているなぁと感じてしまった。
そんな感じで、思いの外自分の人生と重ねてしまった笑
ヨンホの人生と重なる部分はもちろんないのだけど。

電車のレールを辿り、一人の男の20年の人生を7つのエピソードを描く構成。
ヨンホの人生の転換を表す電車シーンで、電車から見える外の景色の逆行に TENET を見て、なんか因果を感じた笑

そして、ソル・ギョングとムン・ソリの oasis コンビ。
oasis も結構胸にくる映画だったけど、この映画もかなり。
ソル・ギョングすごく良い俳優さんだ。

ヨンホの壊れた様子と兵役から、所謂 PTSD になった男の話だと思っていたけど、そんなに単純な話じゃなかった。
警察による拷問という名の尋問も含めた当時の韓国の大きな大きな「暴力」の世界に翻弄された男なんだな。
それだけ、20年という長い月日は重い。
カメラで花の写真を撮りたいと言っていた純粋な青年の心を蝕んだ社会の罪は重い。

最初のピクニックでその光景に既視感があり、時空を超えて涙を流すヨンホのシーンはもはや観客に向けてのシーンだけど、切ないよな。
彼目線ではこれから地獄のような20年が待ち受けているから。。

今冒頭の「ピクニック」を見てしまうと辛すぎるかも。

「ペパーミントキャンディ」って語感や言葉から連想されるイメージがなんかエモかったりするけど、どういうメッセージなんだろうか。
タスマニア

タスマニア