「トラ!トラ!トラ!」「ミクロの決死圏」などのリチャードフライシャー監督によるディストピアSF映画。原作はハリイ・ハリソンの小説「人間がいっぱい」、キャストはチャールトン・ヘストン、エドワード・G・ロビンソンなどなど
架空の2022年。人口爆発によって食糧難に見舞われた人類は、一部の特権階級の人類のみが裕福な生活を送ることができるとてつもない格差社会となっていた。主人公の刑事はそんな富豪の弁護士が何者かに殺されたかを追求していくうちに、とんでもない真実を目の当たりにする。
食糧難により、政府から食べ物とも思えないような人工的な合成食品を配給されて苦しむ人間たちがメインで描かれると見る前には思っていました。
そしたら真相を追う刑事とその同居人の男たちのパーソナル重視のお話展開で拍子抜けしてしまった感じ。それでいて見応えがあればいいのですが、そこまで心に残るような展開もなくちょっと辟易しちゃいましたね。
恋愛パートとかははっきり言って要らないというか、なんかこの頃のB級まっしぐらのアメリカ映画もそういう部分を入れてしまってちょっとがっくりでした。
ただ個人的に嫌いではないのは、主人公の同居人が、主人公が富豪たちから盗んできた食糧を物凄く美味しそうに味わうシーン。あそこは本当に良かったと思いますよ。
今では当たり前のように思われるようなものでも、もしこのような緊急事態が起これば失われる可能性だっていまだになくはないですからね。本当に肌身で議論されるようになったら失われたものの大切さや価値に気付くのだと思いますね。
私が見る前に期待していた。人口超過と食糧難によって暴徒と化した人々をマクロな視点でメインで描くような場面というのは、物語の中盤から後半にかけて現れますが、あそこでの描き方も迫力に欠けてしまいちょっと残念でしたね。
終盤で安楽死のシーンなどがありますがね。やっぱりディストピアものでは定番となっていますが安楽死もまたビジネスになっているのですね。いかにもですよ。
この映画のいちばんのポイントとなるのは、主人公の刑事が辿り着くある真実なのであるが、言ってしまえば政府支給の食糧の材料が実は…というものである。
正直言うと映画見る前にこの部分知っていたのですよね。よってこの部分での驚き以外の物を映画に求めてしまったのが間違いだったのかもしれませんね。
何というか、そのせいで肩透かしを食らったような気がしてなりません。だってその真実は主人公の口頭でしか語られませんもん。死体が運ばれるプロセスまで描いているだったら、肝心の真実のショットぐらい入れてくれればよかったのに。
まあ、その場面が一番重要なのでネタバレは避けますが、仮に知らない状態で見たとしてもあまり衝撃みたいなものは受けなかったかもしれませんね。
ネタバレに向けたヒント映画…「グリーンインフェルノ」「食人族」「野火」「ゆきゆきて進軍」「軍旗はためく下に」
まあ、これらで分かるかもしれません。でも上記した映画の方が面白いかもしれませんよ。やっぱり大々的にその場面を見せてくれたほうが嬉しいですね。
主人公演じたチャールトン・ヘストンはやはり男前、猿の惑星とかも見てみたい。まあカルト映画だと思って見てたんですがちょっと残念でした。それでも見れて良かったと思います。