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わらの犬のkuuのレビュー・感想・評価

わらの犬(1971年製作の映画)
3.8
『わらの犬』
バイオレンスが横行しとるアメリカから平和を求めてイギリスの片田舎に妻とともに🏃🚙💨逃れてきた若けぇ数学者がたどる宿命を描く。
原題のSTRAW DOGS(わらの犬たち)てのは、
中国の思想家老子の語録の中からとった言葉やそうで、
ー聖人不仁,以百姓為芻狗。 天地にはいつくしみの心は無い。だから天地にとって万物は藁で作った犬のようなものだ。 聖人にもいつくしみの心は無いー
超人間的存在である天から見りゃ、人間の行動は護身のために焼くわらの犬のようにちっぽけな存在にすぎないちゅう意味や。
この映画ては人てのが極度に追いつめられた時に自然~んと沸き起こる闘争心てのを暗に肯定しとるとおもうが、 妻の性格になっとなんかあやふやになる。
彼女はピッタリしたセーターを着て歩き回り、恥じっことなく昔の男友達を挑発するような言動をとりよる。
そんため最後に暴行された時にや、一見彼女がその怖ええ結果を自分で招いたかのように見える。
パーペキ完璧学者的な夫への侮辱として、ほんで、彼が行動を起こさへんことへの怒りをこめた反応として。
せや、ペキンパー監督がいまわしいレイプシーンで恐怖を描き増幅させっと、その曖昧さはすぐに消える。
全てが終わる時にや観てる側は妻と同じように驚愕している。
監督はこの残酷な前触れに続いて、意図的にイカれた結末をもたらして、観てる側を簡単には解放しようとしいひん。
不安をあおりよる編集と強烈な描写で、映画を巧くオフバランスの状態に保ってた。
凶暴な敵対者に対してバリケードを積みあげるシーンが、見る者の感情をさらに締めつける。
しかし、心を乱す流血の結末は本物のカタルシスにも満足にもいたらないかな。
それよりも、これまで見てきたもの以上に驚きととまどいを与えられて終わる。
この映画の不確かなモラルは大きな論争の的になったし、それが皮肉なことに監督の正しいことを証明した。
人はここで見るものを好まないかもしれないが、見ずにはいられないかな。
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