あなぐらむ

美貌の都のあなぐらむのレビュー・感想・評価

美貌の都(1957年製作の映画)
3.9
シネマヴェーラ渋谷で。

貧乏暮らしの女工が、御曹司との恋に入れあげるも結局恋は分相応、と落ち着く典型的な筋書きのメロドラマなのだが、司葉子のまさに美貌の力で見せられてしまう。
何よりもヒロインが単純な良い娘でない設計なのが実に人間味がある。
小林桂樹がいい奴過ぎてほっこり。母、清川虹子も効いてる。クライマックスははらはらする。

司葉子以外も淡路恵子、環三千世(好み)と女性は気丈で生き生きと描かれ、対して木村功も宝田明もどうしようもなくて、脚本の井出先生の色が出てるのか、面白い。手袋に託された身分と恋の行方も見事。
司は二役でずべ公役もこなしております。

琵琶湖、京都四条と関西観光映画の趣も。「さぁ殴れ」「貴方を殴るにはこの人の手は綺麗過ぎるわ」「ひび割れてたがな」このやり取りだけでも充分木戸銭分あり。