shunsukeh

TIME/タイムのshunsukehのレビュー・感想・評価

TIME/タイム(2011年製作の映画)
2.0
この映画を切っ掛けに、想像で遊んでみた。
この映画で見つけられる一番深い問は、ただ命がある時間と、生きている間に意味や味わいを見出せている時間とは全く違うものだということ。不老不死が現実のものになったら、人は、不意の事故や何かのいざこざで殺されたりすることを不老不死が夢だった頃より数段余計に怖がる。だから、大抵の人は大人しく生きることになる。その上、際限なく生き続けられることは、人に何かを為さねばとか、何かに成らねばというような思いも失せさせ、漫然と時を過ごすことに何も感じなくなる。
現在、医学の進歩、科学技術の発達により人類は不老不死に少しずつ近づきつつある。それが現実のものになったとしたら、合わせて解決しなければならない問題がいくつか現れるだろう。
おそらく、まず、万人が一斉に不老不死を手にすることはないだろうから、それを手にできる富者とそれ以外に明確に世の中の階層が別れる。これで生まれる分断と不平不満はとても大きいはずなので社会は大きく混乱するだろう。この映画では時間というものを条件にすることで、建前上は全ての人が不老不死を手にしているものの、現実にはそうできるのは富者のみというシステムが出来上がっている。
もう一つ、不老不死の世界では、それ以前のように当たり前のように各個体が自分の子孫を残すことは出来ない。なぜなら、もしそれを許すならば人口が爆発的に増え、それが人に災厄をもたらすからだ。そうすると、人は子孫を残すことを止め、生物学的に世代が入れ替わらず、ゲノムが固定化し進化が止まる。つまり、生命が誕生して以来の紡がれていた糸を経つことになる。このことが人という種に何をもたらすかは分からないが、予測不能の事態が種の滅びをもたらすような気がする。
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