たにたに

五月の七日間のたにたにのレビュー・感想・評価

五月の七日間(1963年製作の映画)
3.9
✨2024年6本目

バート・ランカスターとカーク・ダグラスという顔面癖強の2人が、米軍の長年の上司部下という関係性でありながら、裏でクーデターを目論む上司を怪しんで、部下が政府と組んでバチバチに対立するという物語構成。

ソ連とアメリカ間の核軍縮条約をめぐって、右翼団体によるデモ行進が行われている。それを扇動しているのが米軍統合参謀本部長のスコット将軍であり、日曜の競馬予想を暗号に、仲間達とクーデターを起こす準備をしているようだ。
部下であるケイシー大佐はそのことに気付き、大統領へ報告。証拠を掴まんと右腕たちに指示するも、飛行機が墜落したり、拘束されてしまうなどトラブルに見舞われる。


🟢核の時代
キューブリックの「博士の異常なる愛情」と同時期に公開。同じく核を扱うテーマでありながら、こちらはかなりシリアスでドラマチックに描いている。冷戦の中で、人々が恐れるのは"核の時代"の渦中にいることだ。分断している場合ではなく、まとまりを求める人が多いはず。それに付け入る形でクーデターを起こす軍人がいることの恐怖を描いている。

現代においては、トランプ政権が勃発してからアメリカは分断の時代を加速させ、民間人同士の対立は後を絶たない。いつの時代も扇動力を持つ者の勢いが民間人を混乱に巻き込むのだと感じた。

本作でいうバート・ランカスターは軍人という立場でありながら、テレビ中継での演説を利用して民間人を扇動している。社会的な不安を利用して人々を引きつける姿はファシズムをちらつかせる。

本作の良いところは、終盤での大統領演説。ハッキリとした口調で的確なスピーチは、国民を安心させる。
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