ろ

七人の侍のろのレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.8

「いいか、よく聞け。戦は1人だけでするものではない」


「滝を見にいく」で登場した7人のおばあちゃん。
今度は7人のお侍を観よう!ということで、今作をレンタル。

207分という長尺にビビっていたのですが、、あっという間!もし「時間が長いからな~」という理由で観るのを渋っている人がいるなら、ぜひ観ていただきたい!「風と共に去りぬ」「ベンハー」「アラビアのロレンス」「サウンドオブミュージック」よりも短く感じましたよ!

けれども、物語は濃厚!
百姓の苦悩や虐げられている様が見て取れます。
そして、やっぱり世界のクロサワ。
繊細な場面と力強い男らしい場面の強弱がすごい!
山中に咲き乱れる白い花が映ったかと思えば、黒い雨の中を馬が走る走る。かっちょい~ですよ!痺れます!


好きな場面はたくさんあるけれど、、
まずは志村喬演じる勘兵衛が百姓の頼みを引き受ける場面。
これまで百姓をバカにしていた人足が、炊き立てのご飯を手に言うんです。
「おい、お侍!これ見てくれ!こいつはお前さんたちの食いもんだ。ところがこの百姓どもは何食ってると思う?稗食ってるんだ。自分たちは稗食って、お前さんたちには白い飯食わしてるんだ!百姓にしては精一杯なんだ!」
もう、これだけで泣ける!(´Д⊂ヽ
白いご飯の有難みを感じます!(´Д⊂ヽ
野武士退治の報酬はなく、ご飯を食べさせてくれるだけなんて...と後ろ向きだった勘兵衛の心も動かされます。
そして一言。
「この飯、おろそかには食わんぞ...!」
志村喬アニキがかっこよすぎて、またまた泣けるッ!(´Д⊂ヽ


そして出ました!三船敏郎!
ターザンのような野生児感満載な菊千代ですが、百姓の苦悩を代弁したセリフがこれまた泣ける...!(´Д⊂ヽ
「百姓ってのはな。けちんぼでズルくて、泣き虫で意地悪で間抜けで、人殺しだー!だがな、そんなケダモノ作り出したのは誰だ!おめぇたちだよ!おめぇたち侍だ!貴様たちは村を焼く、田畑をふん潰す、食い物は取り上げる...一体百姓はどうすりゃいいんだー!」
これは百姓出身の菊千代だからこそ言える心の叫び。
私は侍でも百姓でもないけれど、めちゃくちゃ響きます。


山中に咲く白い花は度々登場するのですが、時に優雅で、時に緊迫!
7人の中でも若侍の勝四郎。彼が花に感動して摘む場面は本当に美しい。花は可憐で繊細。映像からいい匂いが漂ってくるようで、心洗われます。
場面が変わると、今度はその場所で野武士を捕まえることに。勝四郎は息をひそめます。とたんに緊張感が出てくる。同じ場所に咲く花が、なんだか勇ましく見えてきます。


どの場面をとっても、黒澤監督の演出力と脚本に唸る。
鑑賞後、母から聴いた裏話に絶句する。。
映画に懸ける熱意が存分に感じられます。


見どころたっぷりの今作!
またじっくり観てみようと思います♪


「今度もまた負け戦だったな。勝ったのは、あの百姓たちだ」
ろ