馬井太郎

七人の侍の馬井太郎のレビュー・感想・評価

七人の侍(1954年製作の映画)
4.0
戦後の瓦礫から立ち直りつつあった日本で、いや、立ち直って復興途上だった、これほどの映画が造られたことは、奇跡に等しい、と言っても過言ではない。とにかく、娯楽というものがほとんど無かったから、映画館はどこも押すな押すなの超満員だった。200分を超える超大作を、私は立ったまま観た。(若かったのです)
当時の悪ガキ仲間は、道端や空き地に集まると、この映画の感想談義に時間の経つのも忘れるくらい熱中したから、観ていないと、つまはじき・仲間外れにされた。
ストーリーは、簡単明瞭・わかりやすいに限る、というお手本のような映画、一秒たりとも、観る者を飽きさせない展開は、その後、外国映画にもパクられた。(荒野の七人)
砧の東宝撮影所に行くと、ビルの壁全体に、この七人の写真を観ることができる。世間を渡り歩く浪人を、「侍」と名付けたところに大きな拍手を送る。
さらに、山賊との戦いで数人が戦死する。この戦死侍がなくて、全員無傷であったら、この映画は、ただのチャンバラ劇として、忘れられていたかもしれない。

この地球上に、いま、こんな「侍」達が登場してくれないか、と願う時代になってしまったか、と昨今思わざるを得ない。