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青空娘のkoyamaxのレビュー・感想・評価

青空娘(1957年製作の映画)
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心の中の青空を見る。

にわかなんですが、
「増村保造で爽やか」ってありえるの?

と思っていましたが、、
うっかり爽やかあややのファンになってしまいそうです笑
(ミヤコ蝶々夫妻も素晴らしい)


父の愛人の子供である若尾文子(あやや)は祖母の死キッカケで上京して
血のつながらない母とその息子たちと暮らすのですが、、、。


朝ドラというか、シンデレラストーリーでシンプルな話なんですけど
駆け抜けるように鑑賞してしまいました。(実際短いですが)
テンポの良さとあややの可愛さ、昔の東中野や銀座の風景など
映像的おもしろさもあると思うのですが


ちゃんと向き合うことによって、やってくる運。


そのあたりに感情を揺さぶられたんですよね。


その正体は、、、

爽やかさ、健気な姿勢。なんでしょうかね。

確かに、普段身の回りにあるようでない^^;




目の前の状況に「正面からと向き合う」スタンス。
その姿勢がある種の運を呼ぶ。

健気な人を見ているとこちらも楽しくなる。
ちゃんと向き合うだけで、感動があります。
健やかさは価値!


一方でちゃんと向き合えない弱さには相応の結果がある。
「向き合わないことの報い」も描かれているのもリアリティがあります。
美術の先生も、父親にしても、
立派なことを言う割に解決までの行動を取らない。
曖昧な感じで目の前にあるその場しのぎで立ち去るなど。
特に美術の先生は、全然悪い人ではなく、好感が持てる人物であるのですが、
その代償を悪意で描いていないものの、恋人になるためのの姿勢で、ちゃんと向き合えない故の不運との因果応報をさらっと入れるあたりは、現実的だと思いましたね。




今作の健気さを「胡散臭いものにしない」
相対的なものとして登場するのは意地の悪い女性たち。

寂しさ、悲しさから由来する
嫉妬深さや悪意、陰湿ないじめ、
やっかみの表現などはさすが堂に入っている感じはあります。
ある意味で、増村保造らしさは最初からあるものなんですね。

のちに陰湿さや嫉妬深さなんかの方が監督の中心的主題になっていく気がするのは興味深いです。

後年「爽やか青空」のイメージはないし、
やはりこの爽やかさなど仮初のものであると
諦念した境地に至ったのでしょうか。。

こちらも、爽やか、健やかさは、のちに喪失しやすいと知っているからこそ、こころゆさぶられるのか分かりませんが。。


今はまだ、
この爽やかさをある種の「ファンタジー」とはくくりたくないところです。

自分にも青空があるか確認してみます^^;
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