真っ黒こげ太郎

タンク・ガールの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

タンク・ガール(1995年製作の映画)
3.8
ランボーよりも強く、マドンナよりセクシー!

噂のスパンキー・ヒロイン誕生!!!(死語)




水星衝突で文明が崩壊した近未来。
タンク・ガールことレベッカは砂漠にある拠点で恋人や仲間達と平和に暮らしていたが、水を独占する暗黒メガコーポ、ウォーター&パワー社の襲撃を受け、仲間達を奪われ自らも捕まってしまう。

収容所でえれぇ目に遭うレベッカ。
そんな中、ミュータント軍団のリッパー達がウォーター&パワー社の連中を襲撃!!!
こっそり隠れていて助かったレベッカは、収容所で知り合ったジェット・ガールと共に、戦車を奪って逃走!!!

知り合いの少女サムが敵の本拠地に捕まっている事を知ったレベッカ達は、リッパー達を仲間に加えてウォーター&パワー社相手に大暴れ!!!




荒廃した近未来を舞台に、戦車を駆るパンク系ヒロインの大暴れを描いた、SFアクション・コメディ。
イギリスでカルト的な人気を得た同名コミックの実写映画化。

火薬等のアレコレを求め近所のレンタルショップを彷徨っていたら、80~90年代の「マッドマックス」物を見つけたのでレンタル!!!


本作は「世紀末な世界で水を独占する悪党とヒロインが大バトル」というこの手のマッドマックス系アクション映画でようあるお話。
なのだが、何と言うかこの映画、”ゆるい”。

世界観はそれなりに設定されているし、SF的特撮やミュータント等の特殊メイクもちゃんと描かれていて、この手のマッドマックス物でやるべきことはきちんとやっているのだが、全編に渡ってパンク&ロックのノリノリ音楽が響き渡り、主人公も最近のアメコミヒーロー張りにコミカルなキャラなので、ノリが水素張りに軽い!

話もけっこうな行き当たりばったりで、ヒロインが戦車に出会うのも、敵陣から逃げ出す展開も、少女を助けようとしたら逆に敵の手に墜ちる展開も、ミュータントと仲間になる展開も、全ての話の進み方がテキトー。w
話自体はありきたりなんだから、もうチョイちゃんとした話にしても良かったのでは…?

後、今作はコミック原作だからか、作中で原作漫画のコマが挿入されるのだが、それらがやたらとしつこい上に、ケレン味ありすぎるコマと実際の内容との格差が半端ない事になっている。
コミック原作だからしょうがない所もあるかもしれんが、ちょっと作るのが早すぎたのかもしれない。

テキトーな脚本といい、全体的に「雑ぅ!」と感じる部分も多かった感は否めないだろう。


そんな大雑把感満点な作品だが、そういうお気楽系B級コメディと割り切って見れば悪くない。

ヒロインの何処までも自由でポップでキュートなキャラは見ていて清々しいし、地味系眼鏡系女子の相方やミュータント達も個性的で愉快なキャラが多く、賑やか。

戦車を駆使したドンパチは火薬爆破しまりだり、トレーラーと戦車のチェイスやクライマックスの大ドンパチ&ミュータント大暴れも派手で、ゆるいなりに楽しめる。
ラスボスの倒し方はもはやギャグだが、ポップ寄りなこの世界には寧ろあってる気がする。


お金は掛かっていてドンパチも派手、コミカルなキャラクターやノリも良さげなだけに、脚本の雑さや適当っぷりが足を引っ張ってるのが惜しい本作。
主演女優の一人であるナオミ・ワッツ女史は黒歴史にしたいらしく、まぁその気持ちも分からなくはない(オイオイ)が、それでもポップな雰囲気やキャラ等の見どころは多く、一概に雑な映画として片付けてしまうのは惜しい。

過度な期待は禁物ですが、この手のB級マッドマックス物としては十分見どころはあると思うので、暇つぶしがてらにでも是非。