馬井太郎

ギターを持った渡り鳥の馬井太郎のレビュー・感想・評価

ギターを持った渡り鳥(1959年製作の映画)
2.5
このタイトルに、私は、今更ながら、心が和む。歳をとったせいだろう。ギターを爪弾きながら、気の向くままに世間を渡り歩くなんて、こんな贅沢な楽しみは、今となっては、夢の世界に等しい。
ガキの頃、親からもらった貴重な小遣い銭を払ってまで、この映画を見る気にはならなかった。
旭は嫌いだったし(まさか、美空ひばりと結婚するとは思いもよらなかった)、錠の頬っぺたも、お笑いだった。
オンタイムで見なかったからこそ、この歳になって観る気になったのか。
こうして観ると、けっこう面白い。初めから筋書きは、わかっている。予想通りの展開で、ハッピーエンド、勧善懲悪、旭節。
当時の、風景、生活習慣、家の佇まい、少なかった車種、etc.
懐かしい心のふる里を、いま、私こそが、映画の渡り鳥となって、巡って歩く、極上の安らぎを噛みしめる。