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ローマの休日のmQのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
4.4
昔観た時と全く異なる感情に溢れたエンドロール。
昔は、こんな素敵な恋がしたいとか、オードリー綺麗だなファッション真似したいとかそんなライトな感想で終わっていた気がする。
今は思う。絶対こんな恋愛したくない。
哀しくて寂しくて、でもきっと一生忘れない美しさを携えているけれど…。

クラシカルでありながら、コミカルな台詞回しがとても好きです。
ローマの下町から有名な観光地、お城までぎっしりとイタリアの代表的な都市を魅力いっぱいに映し出し、白黒の画面は気になりません。逆にとても想像力が働き楽しくて堪りませんでした。
実際にローマに行ったこともある為、あそこにオードリーも行ったんだよな…と改めて感激です。

オードリーの凄いところ、、まだまだ勉強不足ではありますが、表情の変化が劇的だなと。
冒頭のあやつり人形のような少女性を残した表情から、ラストの恋を知り熟れた女性の顔。この2人本当にカップルになってたんだっけ?とwikiで調べちゃいました。(笑)
そしてその姿に胸打たれるのです。
彼女は王女、彼は新聞記者。
数回のキスで埋まることない別れの寂しさと、目を合わせては溢れてしまうと伏せる目元。自然に泣けてきました。
たった1日、まるでおとぎ話のような恋。

会見の際の王女の風格を崩さぬよう堪える彼女の姿を見てハラハラしながらも、好きな都市はどこでした?と聞かれ戸惑いつつも「ローマよ!」とはにかんだ顔に胸がキュッとなりました。
毅然とした姿の裏に感じ取る想いをアイコンタクトで受け止め、ジョーは立ち尽くすしかなかったのでした。
またいつか、どこかで。
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