ねこ無双

白夜のねこ無双のレビュー・感想・評価

白夜(1971年製作の映画)
3.8
連投すみません。
なのでコメントは気になさらずスルーしてくださいね (´・ᴗ・`;)



🐾ーーー

ブレッソン監督。ドストエフスキー原作。
原作のペテルブルクからパリのポンヌフに舞台を変えて4晩巡り合う男女の物語。

1年後の同じ日同じ時間に会おうと約束した恋人を待つも期待を裏切られ、泣いている彼女の恋を成就させようと行動したり慰めたりする主人公。

光に濡れた夜の路面、街灯が灯る宵闇の中を歩いてくる女。
黒いロングマントと真っ赤なスカートが美しく映えて。
二人が会話する背後に行き交う車の音やブラジル人バンドの弾き語り、靴音など心地いい。
いつまでも夜が続くような、寝静まらないような。
あの中を歩いてみたい。

ヴィスコンティ版を先に見ていたので、こちらの現代風の装い、風景の違いに最初戸惑ってしまった。あちらではマストロヤンニの魅力が強烈だったし。
でもこちらももちろんステキ。
ポンヌフ橋から光る観光船がセーヌ川を流れていくのをただ二人で眺める…なんて贅沢な時間。

何気なくて素敵だった生活音。
撮影時は、日常を感じさせる車の走行音も音量が大き過ぎて俳優の声をかき消してしまう問題もあったらしい。

テープレコーダーでの男の録音行為はどこか滑稽に感じるし、雑踏の中で恋人たちが完璧な月を見上げるシーンはロマンティックなはずが残酷であっけないものへ。

多分こちらの白夜の方が評判いいんだろうけど、なぜか私はヴィスコンティ版の方が忘れがたくて好きです。今のところは。