まちゃん

爆裂都市 BURST CITYのまちゃんのレビュー・感想・評価

爆裂都市 BURST CITY(1982年製作の映画)
3.2
マッドマックスを彷彿とさせる荒廃した近未来の都市を舞台にエネルギーを爆発させて暴れ回る若者達を描いた作品だ。ストーリーはあってないようなもので「これは暴動の映画ではない。映画の暴動だ」というキャッチフレーズは言い得て妙だと思う。ロッカーズ、ルースターズ、スターリン、町田町蔵といった伝説的なパンクミュージシャンが総登場して80年代初期のカウンターカルチャーのドキュメンタリーのような印象を受けた。いやドキュメンタリーというよりもロックやパンクといったものに対するピュアな反体制幻想が健在だった時代のクリエイター達の自意識が映っていると言うべきか。美術監督を務めた泉谷しげるの表現する衣装やセットには低予算ながら工夫を凝らされていて魅力的だ。当時弱冠25歳の石井聰亙(現・石井岳龍)の自主映画監督としての実験性と生来のエネルギーとスピード感は混沌とした世界観に良くマッチしている。ただエネルギーと混沌をそのまま映し出した故に未完成感は否めなく、当時の熱狂を体感した世代とそれ以降の世代では評価が異なるだろう。「なめんなよ」という若きクリエイターの叫びが焼き付けられている作品だ。
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