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ビフォア・サンライズ 恋人までの距離のkuuのレビュー・感想・評価

3.8
『ビフォア・サンライズ』
原題 Before Sunrise.
製作年 1995年。上映時間 101分。
リチャード・リンクレイター監督が贈る、極上のラブ・ストーリー。
ウィーンの街を歩きながら2人が交わす、時に他愛なく、時に哲学的な会話の数々が光る。2004年には、本作より9年後の彼らの姿を描いた続編『ビフォア・サンセット』、13年にはさらに9年後を描いた『ビフォア・ミッドナイト』も製作。

列車の中で出会ったアメリカ人青年ジェシーとフランス人女性セリーヌ。
意気投合した彼らはウィーンで途中下車し、14時間だけという約束で一緒に過ごすことにするが。。。

今作品は、『スラッカー』(1990リチャード・リンクレイターの初監督作品)や『バッド・チューニング』(1993ミラ・ジョヴォヴィッチ出てた)のような一風変わった、時代を象徴する作品を手がけたリチャード・リンクレイター監督の静かな珠玉の作品と個人的には過言じゃないかと思う。
ウィーンに向かう列車で出会った20代の若者2人が、一瞬にして心を通わせ、翌日から日の出までウィーンで一緒に過ごすことになるという、ポスト・スラッカー・ロマンスとでもいうべき作品。ソルボンヌ大学の学生セリーヌを『トリコロール/白の愛』で知られるフランスの女優ジュリー・デルピーが演じ、スペインで恋人と別れたばかりで、ユーロレールで日常を取り戻そうとするアメリカ人ジェシーをイーサン・ホークが演じてました。
しかし、リンクレイターは、観光地化されたウィーンじゃなく、無名の人々が住む不気味な墓地、小さな脇道、少し薄汚れたバーとか、あまり知られてへん場所を選んでいる。
その道中で二人は、ユーモアのセンスに溢れた劇団員や、ウィーンの詩人など、様々なスラッカー的存在に出会う。
こうしたやりとりは、『スラッカー』の恣意的なやりとりを初の恋愛映画に持ち込んだリンクレイターのこだわりを感じさせ、エキセントリックなシーンではあるが、『スラッカー』が好きすぎてその影響が本作で薄れたのか、強引で作為的な印象を受けんのも否めない。
主演の2人の演技は個人的に素晴らしいと感じた。
デルピーはカメラの前で自然な存在感を示し、今後多くの視聴者を魅了する象徴的な容姿を備えている。
一方、ホークは、ハリウッドが売り込むティーン向けのゴミとは全く異なる、繊細で詩的なアメリカ人をタイプ別に演じていました。
今作品は、時に忍耐力を要求するが観終えたとき十分見合うものであると感じた。
今作品は、魅力的な恋愛映画の1つと云っても過言じゃないし、同じく素晴らしい続編である『ビフォア・サンセット』への道を切り開いた作品です。
引き続きタイミングがあったら続編も再視聴していきたいです。
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