踊る猫

この自由な世界での踊る猫のレビュー・感想・評価

この自由な世界で(2007年製作の映画)
3.9
イギリスにおける「貧困ビジネス」について鋭く切り込んだ一作、と言って差し支えないのではないかと思う。興味深いのは、そうしたビジネスを立ち上げた主人公・アンジーを悪役として描くことも出来るはずなのに、必ずしもそうしていないという点にある。つまり、問題は「貧困」そのものにあるのではないかという点を告発し、そうしたビジネスが成り立ってしまう状況をこそ批判したいように映ってしまうのだ。ラスト・シーン、アンジーが取った行動は結局どうなるのだろうか。ひとり息子であるジェイミーと一緒に暮らしたいがために行ったことなのに……いや、果たしてそうなのかな、とも考える。彼女が私利私欲を求めていないという保証はどこにあるだろう。そのあたり、重い余韻を残す。
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