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ヤング・フランケンシュタインのHKのレビュー・感想・評価

4.2
フランケンシュタインじゃなくて“フロンコンスティン” ?
イゴールじゃなくて“アイゴール” ?

先日、クロリス・リーチマン(享年94歳)が老衰で亡くなられたそうです。
リーチマンと言えばアカデミー助演女優賞を獲った『ラスト・ショー』の人妻役などで知られますが、私にとってはメル・ブルックス映画の常連怪演女優(同一人物に見えませんが)。
で、久しぶりにパロディ映画の王様メル・ブルックスの最高傑作(だと私は思います)を鑑賞。

かつて怪物を創り出したフランケンシュタイン博士の孫がまたしても禁断の実験を・・・
フランケンシュタインの物語をほとんど知らなくてもコメディとして十分楽しめますが、元ネタを知れば知るほどさらに楽しめるパロディのお手本のような作品です。

元ネタはボリス・カーロフ主演の『フランケンシュタイン』3部作(2作目『~の花嫁』、3作目『~の復活』)。
オープニングの大袈裟なホラー調の音楽、登場人物ほぼ全員の気合の入った怪演。
元ネタと同じモノクロ映像、同じセット、同じ構図などスゴイ再現度と内容のギャップが笑えます。

本作を初めて観たのはTVの広川太一郎による吹替版、所有のLDは羽佐間道夫の吹替版、最初に買ったDVDは字幕のみ。
今回観たDVDはどれでも選べるハイブリッド版ですが、どれも甲乙つけがたく毎回どれを観るか悩みます!(日本語に訳せないギャグをそれぞれの声優がどう吹き替えてるかの比較もまた一興)

で、今回は唯一“バニククー”なるセリフが入ったアドリブ炸裂の広川太一郎版を再見。
この“バニククー”とは城のメイド役リーチマンの役名ですが本当の役名は“ブリュッハー”。これは馬を鞭打つときの掛け声(?)らしく、誰かがこの名前を言う度に馬屋で馬がヒヒーンと鳴くギャグが繰り返されますが、日本人には意味不明なため広川太一郎が得意のアドリブで勝手に変更(?)。
意味は“バニククー”=“馬肉食う”⇒馬が怖がる・・・イヤ、さすがメル・ブルックス作品にマッチしてます。

今観ると序盤のジーン・ワイルダーとマデリン・カーンの肘での別れの挨拶はコロナ禍を予言していたのか?

何度も観てるのに今回も数回は声を出して笑ってしまいました。
くだらないギャグと下ネタが嫌いな人にはおススメしませんが私は大好きな作品です。

そういえば、小栗旬のミュージカル版(福田雄一監督)も話題になってましたね。
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